ブログに移転ということもあってちょっと頻度を上げてみましょう。
医療用の医薬品ってのは品質とか結構うるさいので、うっかり引っかかると製造中止、発売停止とかなったりします。
先日デザレックスというアレルギーの薬が全ロット回収となり、花粉症シーズン前にレースから脱落という記事を書きましたが
あれに関していうと品質ではなくて保管所の書類上の不備とかいうわりとどうでもいい話で回収となりました。
今回回収になったのがブロチゾラム錠0.125mg「NP」というもの。
レンドルミンという睡眠薬のジェネリックと言えばわかりやすいでしょうか?
メーカーの文書を引用
昨年、弊社が製造販売しております『ブロチゾラム錠 0.125mg「NP」』に関しまして、本製 品の長期保存試験(25℃60%RH、24 箇月時点)において、
類縁物質が承認規格に適合しない 結果が得られましたので、同一事象が懸念される製造ロットを自主回収しました。
薬とは言っても化学物質なので経年劣化するんですけどもそれが安定性が悪いとダメってやつなんですよね。
3年とか5年とか期限があるやつなのでロットのサンプルを取っておいて2年たった後に検査してそれがダメだったら回収。そんな感じの物です。
じゃあ、今まで出ていた不良品はどうなるんだ!って話になると思いますが
こういうのは100%の効果があるものが実際は99%でしたって感じのものなので、効能としてはまず影響は出ません。
が、書いてあることと違うのでペナルティとして回収というものなのです。
こういうのは割とよくあるはなしなんですが、今回わざわざ記事にするのは代わりの薬がないこと。
ジェネリック医薬品の場合隙間産業的なところもあって、先発品では作っていない規格を作ったりすることがあります。
先発のレンドルミンは0.25mgの錠剤であり、用量調節する場合は半分に割ったりして使います。
そういう手間がかからないのはいいことなんですが、全体のパイとしてはそんなにないので0.25が20社ぐらい出しているけど0.125のは1社だけ。
その1社が作れなくなってしまうと市場に存在しなくなってしまいます。
・・・今回はメーカーのアナウンスがきちんと行われていたおかげもあって、今まで0.125が出ていた人の処方箋がきちんと0.25に直っていました。
半錠にしてという処方が来てて結構手間ではありますけど、まぁなんとかといったところですかね。
一方メーカーが作るのをやめてパニックになっているものがあります。
製薬会社だって営利企業なわけで、作る作らないってのはある程度自由だったりします。
なんですが、シェアが圧倒的にトップなところが急に作るのをやめる宣言をすると困ったことになります。
スローケーというカリウムの補給する薬なんですが
・2018年10月に製造やめるで。在庫はまだあるけど1月ぐらいになくなるからよろしく
→「ええっ!なんだって!?早いとこ在庫確保しないと」ということで発注発生しまくり、流通が間に合わなくなり出荷調整かかる
→在庫はあるけど需要の方が多すぎてむしろ流通しなくなる
→じゃあジェネリックで確保だ!ケーサプライを確保せよ!ちなみにスローケーのジェネリックはケーサプライしかない。
→個人的な印象なんですがスローケー:ケーサプライのシェアって8:2とか9:1とかなんですよね
→ケーサプライ「もう無理っす!」。ケーサプライも流通規制がかかる。
→患者「薬がないってどういうこと?死んじゃうんだけど?」
こんな感じの状態。
さらに患者が先発医薬品信者だったりすると事態はさらにややこしいことになる。先発なんてねーよ!。
というかですね、シェアの9割取っていた薬がなくなって残りの1割のところが受け皿になれるかっていったらできる訳ねーだろ!っていう話です。
ジェネリックメーカーって生産能力が先発メーカーみたいにあるわけでもないし、1錠5.6いぇんの薬に社運をかけて増産体制っていうのも効率悪すぎるし。
なので、スローケーが出ている患者さんにはしばらくご迷惑かかると思いますがこういう状況ですのでご理解ください。
スローケーと似ている薬っていう点ではグルコン酸カリウムなどもあるんだけど、粉だし換算するのがめんどくさいし、吸収とかも違うからとなかなか切り替わらないです。
ということで今回はここまで。
来週もよろしくお願いします。
0 件のコメント:
コメントを投稿