2019年6月30日日曜日

流通委員会のある薬

流通制限がある薬ってのはいくつかあるんだけど、今回はコンサータっていう薬について。
効能はこれ
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
最近あちこちで聞く言葉ですね。どんな症状かというとこっちをみてね!
https://adhd.co.jp/otona/shoujou/
薬としては集中力を上げることによってこういう症状を抑えるわけなんだけど、いわゆる覚せい剤に近い薬なので
取り扱いには注意が必要な薬です。
類似薬のリタリンは安直な処方によってうつ病の適応が削除され、ナルコレプシーのみにしか使えなくなりました。
成分的に濫用されうる薬なので、流通管理する組織があります。
リタリン、コンサータともそういうのが存在するんですが、どっちかっていうとコンサータの方が規制が厳しいような気がしますね。
コンサータを扱うにあたって
医師の場合
・使いたい旨を流通管理委員会のコールセンターに連絡。認証コードを取得
・必要な情報をフォームに書く
・eラーニングを行って承認を得ると扱えるようになる
薬剤師の場合
・フォームを書いて流通管理委員会の発行する誓約書にサイン
・eラーニングを終了する。
ちゃんとお勉強しないと扱えないんですよね、病院も薬局も。
こういうのを知らずに医療コンピュータで処方せんをうっかり発行できてしまうこともあるし、突然来た処方せんに対してそのまま受けてしまう薬局もあるかもしれません。
薬局のフローとしては
こういう処方せんが来た場合、流通管理委員会のHPにアクセスして処方できる医師だと確認を取った上で調剤するって感じになります。
確認できない場合は調剤を断り、流通管理委員会に連絡。流通管理委員会から処方医へ「こういう薬だから出すには勉強しないとだめよ」という連絡が行きます
もし薬局に取り扱える薬剤師がいない場合は断らないとならんのだけど、問屋から薬局ってそういう確認ってないような気がするんですよね。
発注あげると普通に入ってくるような気がしますがどうなんだろ?一応リストに載ってないとおろしてもらえないってことにはなってるみたいですが
コンサータって薬がでた当初は小児のADHDっていうせまい適応だったのであんまり見向きもされなかったんですが、大人に適応追加がされるってことになって
慌ててお勉強することにしました。
これってのは個人についている資格みたいなもんなので、まだとっていないご同業の方は取っておいた方が良いのかもしれませんね。
この手の薬ってのは種類増えていってるんだけど規制があるのはリタリンとコンサータだけ。
そのうちなくなる組織なんですかね?

ということで今回はここまで。また来週

2019年6月24日月曜日

血糖値をあげなくなる薬

1週間お休みをいただきました。
とはいえ、土曜は飛び回っていたのであんまり体調はよくないのですがあんまり休んでいると書けなくなってしまうんで書いてみましょう。

今回は糖尿病の薬、αグルコシダーゼ阻害薬のはなし。

糖尿病の薬と言えばどういう効果があると皆様お思いでしょうか?
血糖値を下げる薬と思われる方も多いと思いますが、直接下げる薬ってあんまりなかったりします。
インスリンがそうなんだけども、これは注射しかないですし、飲み薬だとインスリンを出させることによって血糖値を下げる薬はあります。

で、こいつはどういう系統かというと「上げさせない」薬という感じのものです。ちょっと詳しく説明してみましょう。

血糖値ってのは血液中のグルコースの量であり、血糖値が上がるってことは食べ物を食べて、それが吸収されてそれが血管に取り込まれるってことなのです。
正常ならばあがればインスリンが分泌され、血糖値を下げるように働くわけなのですが、糖尿病だとそのあたりがうまいこと働いてくれません。

中学の理科、もしくは高校の生物でやったことになるんですが、ブドウ糖ってのは炭水化物が分解されたものになります。
炭水化物って分かりやすくいうならご飯やパンですね。

ご飯が消化酵素で分解された結果ブドウ糖になるんですが、ブドウ糖になるまで分解されないと吸収ができません。
このαグルコシダーゼ阻害薬ってのは炭水化物を分解する消化酵素を止めるものです。
分解できなければ吸収出来ない→血糖値上がらない、そんな感じのものです。

ただ消化酵素止めるのは一時的なもので、わりとすぐに切れますし100%止めれるわけではありません。
そうでないと一生栄養が吸収できなくなっちゃうからね。
薬の性質上、食前に使わないとあんまり意味がないです。
何でかっていうと、食後に飲むと先に消化酵素が先に働いて一部分解されてしまうから。
なのできっちり効かせたいなら食前に飲みましょう。
飲み忘れてしまった場合は食事中に気づいたらならその場で飲んでもいいです。多少は効果あります。
食後だったら・・・あんまり意味ないので飲むのやめましょ(飲んでいけないってことはない)

あと副作用について重要なところをひとつ。
これは炭水化物がブドウ糖まで分解できなくなる薬で吸収ができなくなるものです。
極端な言い方すると食べ物取っても血糖値上がらない状態。
他に血糖を下げる薬飲んでて、下がりすぎてしまった場合食べ物とってもあげることが出来ずヤバイことになります。

とはいえ、解決方法はあります。
あくまでも分解できなくする薬であって吸収できなくなるわけではないため、すでに分解された状態のブドウ糖を直接取れば改善します。
なので、この手の薬を飲んでいる人に対してはブドウ糖を渡したりすることもあったりします。
低血糖だからブドウ糖をという話をする人もいますが、この辺の薬飲んでなければブドウ糖でなくても構わんのです。

とまぁ、きっちり説明するとこんな感じでしょうか。
実際の現場ではかなりはしょって説明するんですが、これだけ説明したほうがいいのかしらね?

と、今回はこんな感じで。
薬について深く掘り下げて説明するというのはまたやろうと思います。
リクエストとかあったらコメントなりTwitterなどで
では、また来週お願いします。

2019年6月8日土曜日

薬局で使う色素とは?

先日Twitterで食用青色1号を迅速に手に入れる方法ってのを聞いてましたが、あれはなんのか?というお話。
先日処方箋で
硫酸アトロピン原末0.3mg 分3 1日3回毎食後
という処方箋が来ました。
1回量が0.1mgであり、これを正確にはかるっていうのは不可能。
普通に使う電子天秤って0.01g単位であり0.0001gってのはそもそも数字が出ないのですね。
風とかふいたら変わってしまうからねぇ。
じゃあどうやるかっていうと、倍散をつくるっていうものを行います。
0.01g単位で測れるはかりであれば0.5gとかなら信頼できる制度で測れます。
硫酸アトロピン原末を0.5gはかって、それにバレイショデンプンを足して500グラムにすると
0.1%の硫酸アトロピンっていうのができます。
1g中に10mg入っている計算となるため1回量が0.1gとなりこれならば測れるねって感じにあります。
が、均一の状態で混ざっているのか?ってのが問題になるので色素をつけるということを行います。
色むらがあるようならば均一でないため、それがなくなるまでかき混ぜるという作業がおこなわれます。
絶対っていうルールはないんですが、毒薬の倍散を作るときに使われる色素ってのに食用青色1号(ブリリアントブルー)というものがつかわれます。
これは少量できちんと色がつくのと安定性が高いのがメリット。
混ぜ物をが多くなると安定性悪くなるので、少量で済むっていうのは助かるんですよね。
資料をみると100g中に10mg入っていれば十分とのこと。つまり0.01%ってことですね。薬の1/10でいい。
あと、青色っていうのは普通に口に入れるものに使う色ではないので取り違えないようにっていう意味合いでもあるみたいです。
毒薬の希釈したものに色を付ける場合「青」をつかうんだけど、それよりも毒性が弱い劇薬は「赤」をつかいます。
わたしが学生の時に製剤学っていう講義で「そういえばやったなぁ」っていう知識なんだけども、実際使うことがあるもんだなぁなんて思ったり。

ちなみに問屋から入れようとすると最短で1週間かかるとか。
処方箋きてからでは間に合わないよ!
お値段もAmazonとかでみてみると5gで3000いぇん程度するとかで。
原末0.5g使って500gの0.1%散を作って、1日使用量が0.3g。1667日分・・・。
4.5年分なんだけど、そもそも有効期限がそんなにもないので絶対廃棄になりますね・・・。
そういう薬ってのもあるってことでひとつ。
また来週もお願いします

2019年6月2日日曜日

どっちがメイン?

今回はTwitterであげてた話をちょこっとまとめ
効能と副作用。
副作用っていうとデメリットっていうイメージがありますが、あくまでメインとしていない作用であって必ずしもデメリットではないのです。
今回は前立腺肥大による排尿障害の薬についてちょっと書いてみましょう。
・タムスロシン(ハルナール)
ちょっと世代的には時代遅れになりつつなる薬。若干血圧を下げる効果もあったりする。
高齢者で高血圧持っていると優先的に使われることがあるかなぁ?って感じ。
・プロスタール、プロスタールL
これについては女性ホルモン剤。前立腺って男性ホルモンで大きくなるので女になれば大きくなるのを防げる。
使うとおっぱいが大きくなるという副作用があったりするんですが・・・
そういう目的で使っている人って聞いたことないです。
まぁ世の中男性で女性ホルモン剤を飲むそっち系の方っていたりしますけど、そういうので使うにはちょっと強すぎるのかな?

・ザルティア
これはツイッターで紹介したやつ
比較的新しめの薬でこの用法で使うと2.5mgとか5mgなんですけど、これシアリスっていう勃起不全のに使う薬と同成分
バイアグラと同系統の薬でそっちで使うには10mgとか20mgとかで使います。
なので1回に4錠使うと・・・?って感じなんだけどやっちゃだめですよ?
これについてはそういう目的で使うっていう人は聞いたことないです。

・アボルブ
これもTwitterでも書いたんですが、同じ成分同じ量でザガーロっていう名前の薬がある。
これはAGA(壮年性脱毛症)の治療薬として使われています。こっちは保険が効かないのでそういう名目で出してもらうと
結構いい値段がします。
前立腺肥大ってことにして使っている人ってのもいるんじゃないかなぁなんて思ったりも。
この薬は海外で作っているんだけど、2年ほど前に製造過程に不具合があって供給がストップしたことがありました。
当然供給がなければ他の薬に切り替えるんですけど、これじゃなきゃダメだ!ってかたくなに言ってる人がいまして
それって・・・て感じでした。

今回の例だとアボルブってのはあからさまに使っている人いるけど他はいないかなぁ?
副作用をメインにっていうのはなかなか難しいけどそういうこともあるんだよってことで。
来週もよろしくお願いします・