2019年8月25日日曜日

花粉症の薬が自費に?

今回は時事ネタ。
花粉症の薬が自費になるとかならないとかというお話について。
まず初めにこれの事実確認。
企業の健康保険組合で構成する健康保険組合連合会(健保連)は22日、医療機関で処方される市販薬と同じ成分の花粉症治療薬について、
医療保険の適用から除外し全額自己負担にすべきだとの提言を取りまとめた。
最大で年600億円程度の医療費削減効果があると試算。
というお話。
まだ「こうしたらどうか?」っていう段階であり、決定ではないっていう話。これだけは頭に入れておいてほしいです。
話しの出どころの健保連ってところは医療保険の組合でしてここは常々お金がないって言っているところなのです。
お金がないからといって保険料をいきなり上げるということもしづらいので、どこかで支出を減らすことになってくるんですが
それのやり玉に挙がったのがこの花粉症の薬なんですよね。
他にも
 健保連は、市販薬で代用可能な処方薬の医療費規模は2126億円と試算している。
これまでも医療機関で処方される湿布や保湿剤を保険適用から外すよう求めており「制度維持のため、一定程度の除外は必要」と強調する
こんなことを言ってたりします。
湿布や保湿剤のヒルドイドなんかは結構無駄遣いの温床になっているイメージがあるんだけど、本当に必要な人にいきわたらなくなるっていうのは
結構な問題なんですよなぁ。
これはあくまで健保連の意見なのだし、該当患者からみたら「どちらかと言えば大反対」って結果になるに決まっているんだけども
つかまる個人的な意見としては「一理あり」って感じだなぁと思っています。
なンで?って言われるかもしれませんが理由をちょこっと書いてみましょう。
①金額的な話
市販にも医療用にもある薬ってことなので、ぶっちゃけアレグラのことかなぁと思っています。
アレグラが28日分でたとして3割だと1550いぇん(弊薬局)ジェネリックで1050いぇんでした。
ただし、これは処方箋が必要なわけで、医療機関に診察を受けて処方箋を書いてもらう必要があります。
医科の点数ってよくわからんですけど、初診でなくて診察してもらって処方箋でると700いぇんぐらいかかるかね?
先発で2250いぇん、ジェネリックで1750いぇんといったところ
市販のアレグラの14日分の定価が2000いぇんぐらいで28日で4000いぇんと確かに高くつく。
が、安いジェネリック探すとアレルビっていう同成分の薬があって、これだと28日で1000いぇんぐらいで売ってたりします。
ネット通販でしか見たことないけども、店頭販売だともうちょっと高くつくのかな?
と、うまいことやると市販の方が安く上がったりするのです。
また医療費ってのは自己負担分だけでなく組合が払う分ってのもあるので、アレグラ2250いぇんって書きましたが実際はトータルで7500いぇんかかっています。
ジェネリックでも5800いぇん。
これを見ると市販のアレグラを買った方がトータルの医療費的には安く上がるのです。
でも自分で払う金額が・・・っていう話になってしまうんでしょうけど、これはセルフメディケーション減税をうまいこと使えば何とかなるのかもしれません。
マーめんどくさいからあまりこういうのは流行らんかなぁ?
②時間的な話
つかまるが言いたいのはむしろこっち。
医者に行って診察まで待って、その処方せんをもって薬局にってそこでも待って薬をもらう。
この移動、時間的なコストってわたくしから見たらすごく高いと思うんですけどどうだろうか?
市販品で済ませるなら、この分のコストがなくなるのでアリじゃねーのと思ってます。
実際問題、ロキソニン、ガスターが市販化されて結構流れが変わったってのもありますし
ロキソニンテープとかクッソ高いんだけど普通に売れたりするので、値段がかかっても手軽に買えるっていうのは需要があります。
とまぁ、個人的には「花粉症は医者にかかって薬をもらう病気である」が社会通念にあるっていうのが問題なのでは?って思ったりも。
風邪で医者にかかる人いるんだけど、風邪で医者にかかるのは正直お勧めでできない。
市販の風邪薬の方が性能がいいし、時間的なコストが圧倒的にもったいないからね。
こんな感じで個人的には反対意見は出るだろうけどありっちゃありでしょと思ったりしてます。
ただし、じゃあどうしたらいい?っていう誘導がないとなかなか定着しないのではないと思いますね。

???「わたしは医療費かからないからそんなことされたら困るし、先発品がいい」
こういう人は少なからずいるからこういう人を説得するにはどうしたらいいのかね?
と言ったところで今回はここまで。
また来週もお願いします。

2019年8月18日日曜日

薬屋のお休みとは

先週は東京でいろいろやっていたためお休みいただきありがとうございました
お盆休みっていうのがないお店なのでお盆の時期ってのはむしろ忙しかったり。
他の薬局が休みでその分集中してむしろ忙しいというやつですね。
今回は休みとか時間外とかのお話をしてみようと思います。
薬局って年中無休とか24時間営業っていうところもありますが、コンビニとかと比べても保険点数的に優遇されてたりします。
営業時間っていうのはある程度薬局が決めてもよい状態なんですが、あんまり門前の病院に合わせた営業時間にすると
新規での開局が通らなかったりペナルティがついたりすることもあります。
たとえば内科のお医者さんの真ん前に薬局出すとする
内科が水曜、土曜の午後休診、日曜祝日も休みとしてそれに合わせて薬局も休みにするとお役所からおとがめがくることがあったりします。
経営する側としては処方箋こないときにあけるというのもナンセンスだし、薬剤師も休みがとれなくて労働条件がってはなしになってきます。
お医者さんは中休み認められているけど、薬局は認められてないっていうのもちょっと変な感じですね。
お医者さんが0900-1200 1500-1800とかいう場合だと薬局は0900-1900っていう感じになりますね。
昼めしとかどうすんだっていうことになるんですが、複数薬剤師がいれば交代で外に食べにいくことも可能ですが居なければ中で食べることになる。
呼ばれたら対応する感じになりますか。
カップヌードルを作っていて呼ばれて対応して戻ったら、名状しがたき物体が机の上にあったりっていうのたまにあります。
夜間休日加算というもの
夜とか休日とかに受け付けると患者から追加でお金を請求することができます。
これっていうのは営業時間とは別であくまで日時によるものです。
平日の1900以降、土曜日の1300以降、日祝の終日はいわゆる休日料金みたいなのがかかるよって感じで思ってもらえたら。
平日と日曜で値段が変わる所って結構ありますからね、マンガ喫茶とか温泉とかそういうところ。
日祝は基本的にカレンダーの赤い日なんですが
休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。
なお、1月2日、3日、12月29日、30日及び31日は休日として取り扱う。
とあります。
これをみてわかるんですがお盆は該当しないのです。
医療機関に合わせて臨時休業をとる薬局もあるんでしょうけど、弊社はそういうことはないです。
10年ぐらい前にこの夜間休日加算っていう制度ができたんですが
・医療機関薬局が平日18時にしまったり、土日やってないっていうのが現状
・生活リズムが多様化しているので夜とか休みとかもあけてほしいと政府が
・とはいえタダでは絶対に動かんよね
・色つけるのでちょっとお願いしますよ
そんな感じで発生した加算なんですよな。
弊社は昔から休みとかない環境だったので単純にプラス。
色がついたから営業時間延ばしたっていうところもあるのかもしれません。
ちなみにこれの点数は薬局40点、医療機関が50点
薬局の場合処方箋の持ち込みの期間が処方箋発行から4日間なので、うまいことやればこの40点を回避することもできるし
日曜もやってるから大丈夫でしょってことで40点食らうこともあります。
3割で120いぇんなので気になる方はずらしてみてはどうでしょうか? 
あ、でも期限内によろしくお願いしますね

ということで今回はここまで
また来週お願いします。

2019年8月4日日曜日

エボラ出血熱の疑い?

今日は時事ネタ
厚生労働省から本日こんな情報が来ました
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06025.html
エボラ出血熱の疑いの患者がでたというお話なんだけど、日曜であっても即座に第一報がでるあってあたりすごいなぁとおもいます。

エボラ出血熱っていうと一般の方でもちらっと聞いたことあると思いますがちょっと紹介。
厚労省のページより
○ どのような病気か
エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、2~21日(通常は7~10日)の潜伏期間の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈します。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。
現在、エボラ出血熱に対するワクチンや治療薬の開発が進んでいます。

 ○ どうやって感染するか
エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。
感染症なので何もないところでは発生せず、流行しているところに行ったりすると拾うことがある。
上のどうやって感染するかていうのにもあるけど接触感染によりおこり、空気感染はしない。
感染していても発症していなければ「一般的に」感染しないとあるんだけど、これはどうなんかね?
そうなのかもしれないけど、わざわざ書くということは混乱を避けるためのものなのかもしれませんね。
疑いって段階で情報出さなきゃいいかもしれんけど、それはそれで隠蔽だーとか言われるだろうし、このあたりの情報管理は難しいかも。
厚労省のHPにはあえて書いてないんだけどwikiでは致死率は50~90%とあります。
これは発生しているエリアの医療、衛生状態を加味した数値であり、日本みたいなきっちりした治療すればもうちょっと下がると思います。
多分30%程度の致命率ぐらいになるのではないかなぁと思っていたり。
感染症って原因があって起きるので、下手に移動させるとそれはそれで問題になったりしますからねぇ。
隔離ってのが原則であるので治療率が低くても現地でやらんとならんっていうのが心苦しい。
二次感染防ぐのは治療よりも優先される。そういうこともあるのでしょうからね。
もうちょっとエボラというか病原体について説明。
リスクグループとバイオセーフティレベルのおはなし。
リスクグループってのその病原体がどれぐらいやべぇかっていうレベル
リスクがほとんどないものがグループ1、インフルエンザクラスがグループ2
当然このエボラは一番やばいグループ4
バイオセーフティレベルっていうのはその病原体を扱うにあったてどれぐらいの設備が必要かというもの
これも4段階あって、エボラは当然の権利のごとくレベル4でないと取り扱えないというやつ。
とはいえレベル4っていうのはほとんどなくて日本だと実質国立感染症研究所村山庁舎だけで、この患者の検体はそこで調査中とのこと。
施設レベルが足りないと病原体が漏れ出すリスクがあるため、調べることができないっていうルールがあるのでこのああたり難しいと思いますね
過去の例で1987年(昭和62年)にシエラレオネ渡航者がラッサ熱に感染して日本に帰国し、帰国後に発病した事例がある。稼動中のBSL-4施設がなかったために、日本での確定診断・治癒確認が不可能で、検体をアメリカ合衆国に発送して確認を仰ぐ事態となった
ということがあった模様
あ、病原体の扱いと患者の扱いってのは違うからこの辺りは間違えないで下さいね。
これはあくまで実験室レベルの話で、こんなところに患者を入れるのは不可能だともいますし。
それぐらいやばい病原体ですよっていう話です。

治療法ってないの?っていう話なんだけど、あるにはあります。
アビガンっていう抗ウイルス薬が効くのではないのか?って言われております。
このアビガンはむかしぐぐたすの時にとり上げたんですがかなーり特殊な薬。
どれぐらい特殊かというと製造販売承認はでたが製造許可は出ておらず販売許可も出ていない。
どういうこと?という話なんですが
・既存の薬が無効な新型インフルエンザ用の薬として承認された
・マジやべぇ状況にならないと作ってはならないし売ってはならない
・催奇形性があるからあんまり使いたくはない。死ぬよりはましっていう状況でないと使ってはならない
そんな感じのくすり。
動物実験ではエボラに効果ありというデータあるんですが、人間に使った例は医療関係者が二次感染したときの3例のみっぽい。
一般的に使うにはむずかしいかも。
今回エボラだったとしてこの薬が使われるか・・・というとどうでしょうね?
日本の法律ではまだ使えないから特例措置でやるのかなぁ?

というところで今回はここまで。
また来週もお願いします。


1330追記
あまりに不安をあおる報道が多いので記事を書いたあとのわたくしのTwitterで書いたことをのっけときます

事実だけ書くと
・コンゴから帰ってきた人が熱がでて検疫でひっかかった
・診察した結果インフルのA型陽性
・患者と接触してないから大丈夫だろうけど、エボラのあり得る国なので念のために検査に出した。結果でるまでちょっとまって
こんな感じ。エボラ感染の恐れがあるっていうのはどうだろうかね? あたりまえなんだけど、現地で流行してるといっても感染患者は当然隔離されます。
隔離できずに全域で蔓延しているならば渡航制限がもっとやばいしメディアも騒いでるはず。
この条件でこの人がエボラである確率ってどれぐらいだと思いますか?
そういう話やぞ 確率として0.00001%ぐらいだとして
ほとんどありえんけどうっかりそうだった場合のリスクがやばすぎるのでそういうのを止めるためのシステムがあるというやつです。
ぱいぱーさんも言ってたけど
最初に診た医師が「あー、はいはいインフルね」で済まさなかったことがえらい。
渡航歴をきちんと確認してまずありえないだろうけど最悪の状況を意識してたちまわったのがえらい!

そう思います。
それをメディアが変な風に取り上げちゃうと・・・てのが問題