2019年4月29日月曜日

一般医薬品のメリット、医療用医薬品のデメリット


みなさんGWの連休堪能してますか?
わたしは仕事しております。シカタナイネ

医療用医薬品ってのは基本的に単一の薬効成分なので意外と融通が利きません。
例えば水虫の薬。
よく出る薬としてルリコンクリームっていうのがあるんですが、これには痒み止め入っていません。
・・・え?って思われた方は結構いるのかもしれませんがそういうもんなんですよ。
水虫の原因は白癬菌が原因であり、白癬菌を殺す成分は入っているけど痒みを抑えるのはまた別の薬なんですよね。
医師によってはオイラックスやレスタミンといった痒み止めと混ぜて出してというところもあるんだけど
そういった形にしないと痒みは直接おさまるもんではありません。
その点市販の薬ってのはブレンドが結構自由にできます。
痒み止め入れたり、抗炎症作用のある薬をいれたり。
菌を殺す成分自体は医療用の物のほうが上かもしれませんが、総合的な作用で見たらこっちのほうが良かったりすることもあるんです。
これは水虫の薬に限ったもんではなくて、目薬とか風邪薬、胃薬なども同様。
医療用で同じようなもの作ると超微妙な分量でブレンド毎回行わないとならないので薬局はやってられません。
風邪薬に関していえば医療用と市販のものを比べたら市販の物の方が性能がいいものがいいです。
休みの日にわざわざ医者にかかって、薬局にかかってっていうのは時間もお金ももったいないので、市販で済ました方がいいよと
薬局の薬剤師である自分は毎回思っています。
医療用のほうでアドが取れるとしたら抗生剤ぐらいなんですけど、本当に必要な状態ってそんなにないです。
でてないようならば市販の方が良かったのかな?といった感じかも。
疲れ目の目薬なんかはサンコバとミオピンぐらいしか医療用はないのですが、もっと良い目薬は市販にはいっぱいあります。
わたしはVロートプレミアムっていう全部入りの目薬使っていますが、お金が出せるんだったらこれがお勧めです。
結構いい値段しますが、こういうのは安いのよりはきっちりしたのを使うのがいいと思いますよ。
なんか胃腸の症状があるとガスターくれと言ってくる人も多いのですが、ガスターっていうのは胃酸を抑える薬であって
なんにでも効く薬ではないです。
消化不良とか食欲がないと言った症状でさっきガスターくださいって言われましたが、そういうのは別のものが良いのです。
この辺りは登録販売者、薬剤師に聞いてください。症状によってガスターよりいい奴出してもらえます。
正直市販でガスターってあんまり売りたくないってのが個人的な感想なんです。死人が出ている薬なのであんまり安直に使ってほしくないのですよ。
他の薬が1類医薬品から落ちて行っているのにこいつだけ最初からずっと規制緩和かからないのはそういう感じのものなんです。

はい、今回は雑多な感じになりましたがここまで。
来週はエパデール(市販品)につてかこうと思います

2019年4月22日月曜日

トランサミン回収と復活

今日問屋の人がトランサミンの回収があるんですが、と訪問されました。

この薬はトラネキサム酸というのが成分で喉の痛みや出血を止めたりする効果がある薬。
一般の方だとトランシーノというとピンと来る方もいるのかも。
沈着した色素を落とす効果もあります。

が、この薬品質問題でやらかしてしまい、去年の1月から供給がストップしてます。
にもかかわらず、回収ってどういうことなのよ?
そもそも流通してないのに回収ってよくわからんのだが?

説明を聞くと
・2018年1月に特定ロット回収&製造中止となった。
・が、どさくさに紛れて3ロットほどアナウンス後に流通してしまってた模様
・今になって気づいたので残ってたら回収するわ


こんな感じです。
そもそもの製造中止の理由がちょっと溶けにくいぐらいのやつなので、該当ロットだとしても健康被害はないのですが。
メーカーの本音としては5月に再生産開始で心機一転したいのに一年半前のが残ってるってのはあんまり気持ちいいものではない
そんな感じかなぁと思います。

なんにせよ、ようやくトランサミンが戻ってくるので先発希望の人にとっては朗報かなぁ?

といったところで今回はおしまい。
GW入りますがお仕事はあるので更新はすると思います

2019年4月16日火曜日

鉄欠乏性貧血について

昨日はばたばたしてて更新できず申し訳ありませんでした。

今回は前にリクエスト来てた貧血のお話。

貧血といってもいろいろありまして、原因によって対処法が違ったりします。
一番多いのは鉄欠乏性貧血なるもので、鉄分が足りないことによるものです。

ヘモグロビンってのが赤血球の成分にあるんですが、これのコアに鉄が含まれており、鉄がないと作ることができません。
で、鉄ってのは食事で補給できるもんですが、状況によっては足らなくなることもあります。
特に女性の場合は月経とか妊娠とかで出ていってしまうことがあるので、普通の食生活では足らなくなることが頻繁にあります。

対処法としては鉄を取ること、なんですが
食事からとれる量ってのは限られているので、治療が必要なぐらい鉄分が足りてなければ食事改善とかいう悠長なことをいってる場合ではありません。
基本的に飲み薬の鉄剤を飲むことになりますが、酷い場合とか副作用とかあると注射になります。
輸血ってのは最終手段として無くはないですが、やるといろいろ面倒なことになるのでまずやりません。

鉄の薬っていうと主に二つあって
・ヘモグロビンのコア部分である鉄だけ補充するもの
・ヘモグロビンの外骨格(コア以外部)も含むものを一緒に補充するもの

後者のほうが値段高いですが効果が高いとされてます。
まぁ、外骨格が余るけどコアが足りないっていう状況のほうが起こるので鉄だけ補充するってことのほうが多いのですが。
栄養状態があんまりよくないと後者つかったほうがよいことになります。

鉄ってのはヘモグロビンのコアとしても使われますが、普段は貯蔵鉄って形で蓄えられてます。
貧血ってのは貯蔵鉄がなくなって、現在の運用に支障が出てきてるとこまで来てる状態をさします。
なので症状がよくなっても鉄剤は続けて飲むようにしたほうが良いですし、食生活も改善したほうが良いです。
鉄分を取ることもそうですが、吸収しやすくするってのが大事で、ビタミンCとB12、葉酸ってのが特に重要。
果物、緑黄色野菜、貝類なんかが有効です。

逆にマイナスなのは緑茶など渋い系のお茶
これはタンニンという成分で鉄は沈殿して吸収されなくなるため。
あとは食物繊維も吸収を妨げることがあるので注意。
グラノーラとかそういう奴ね。

このあたりは栄養士さんのほうが詳しいと思いますので意見欲しいところです。

というところで今回はここまで。
また来週もお願いします。

2019年4月8日月曜日

経過措置品目とそれにまつわるいろいろ

4月になりました。
新社会人の方、環境が変わったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
わたしもちょこっと変わりましたが、仕事は忙しくなる一方でございます。見る店舗が増えるとかそういう感じ。
さて、今回は経過措置品という概念について。
医療用医薬品ってのは通常の商品と同じく使用期限ってのがあります。
これとは別に保険請求できる期限っていうものがあります。
3/31に請求期限切れってのが結構な品目で発生して、有効期限切れてないけど使えない薬が大量にでました。
なんでこういう制度があるというと
薬の名前が変わったりとか、製造していないとかで今では流通していない薬が「処方箋に載せてよいリスト」に載っていると困るからっていうやつ。
いざ取り寄せるとしてもそんなものはないって状態だと時間の無駄になるし、そういう制度がないと医師も一番いい奴はこいつだからって
出してきたりしますしね。
ニッチな例え方をするならばカードゲームとかのスタン落ちに近いかなぁ?と思ってたり。
Black Lotusってどんなデッキにも入るクッソ強いカードだけど、今のスタンダードのカードプールにはそんなものはないから
そういうのが書いてあるデッキレシピ(処方箋)を書かれても困ってしまう。そんな感じです。
スタン落ちする理由なんですが、よくある理由として
・作ったはいいが採算取れないため製造自体をやめるから
・製品の改良版が出たため製造を切り替える
・製品は同じだけど名前が切り替わったので、古い名前の商品をスタン落ちさせる
・副作用などで使用禁止になった
大体こんなところ
採算取れないってのはいろんなメーカーが作っているジェネリックで良く起こるもので、弱小は生き残れないっていう感じですかね。
薬局としてはあんまりあちこちメーカー作ってたりするといろいろ持たないとならなくなるので統廃合してもらえると助かりますが。
改良版がでてスタン落ちってのはあんまりないんだけど、最近出くわしたのがエルネオパっていう点滴がエルネオパNFっていう成分微調整されて旧品は
スタン落ちしたというもの。
名称変更ってのもジェネリックだとよくある話。
今まではジェネリックでも商標名があったんですが、今では成分名+「メーカー名」という形になったりしてます。
グッドミンっていう薬がブロチゾラム「ヨシトミ」となったりして、グッドミンという名前は後者と同じものだけど使用期限が切られるって感じですね。
副作用についてってのは経過措置っていうか、発禁って感じなんかなぁ?こういうのはほとんどないですけど、大昔のノスカールとかそんな感じだったのかな?
ベゲタミンみたいに学会が「この薬危ないから使うの止めるわ」って言った結果販売中止→経過措置品にっていうものあったりしますし。
販売中止になっても使用禁止までにラグがあることもあるのでそれでトラブルになることもあります。
エリミンっていう睡眠薬は乱用が問題になってメーカーが作らないようになりました。
が、使用禁止までにタイムラグがあったので市場にまだ残っている薬を求める人がいたりしました。
医師は販売されてないよ?って言っても患者は「持っているところ知っているから書いて」という始末。
「エリミンありますか?」と聞いて回る人が現れたってことがありました。
その時なんだけども
・弊社では在庫があるけど、このご時世エリミンくれと言ってくる人はまともな人ではないかあらないってことにする。
・でも使用期限も経過措置も切れてないので廃棄ってのは切れない。
・そうしたら近所の薬局から在庫ありますか?という問い合わせが。
・そっちに渡してしまえばこういう面倒な案件とはおさらばできるぜ!
・近所の薬局「患者さんがそっちに行くと言っていますので対応よろしくね」 つかまる「おいィ?」
・患者「エリミンあるって聞いてきたんですが、あと何錠ありますか?」 つかまる「あああああ」
とまぁ、こういうこともあったりするんですよ。
今回の3/31の改定でロヒプノールっていう睡眠薬が薬価収載から外れました。
ロシュからエーザイが商標を買ったんですが、エーザイは同成分でサイレースっていう名称で販売している。
ただし、エーザイが買った当初はエーザイひいき目にみてもロヒプノール:サイレースが8:2ぐらいのシェアだったりした。
同じ薬で二つ持つのもナンセンスなので、片方消したほうが合理的なんだけど、残す方はシェアではなくて自社ブランドってのを優先した。
優秀な養子と平凡な実子とどっちに継がせるっていう昼ドラみたいな展開だなぁと思ってみてましたけど
世の中にはロヒプノールの方がいいというブランドで選ぶ人も少なくないので、駆け込み需要があったのかもしれないですね。
アングラ系だと「ロヒプノールまだあります」みたいなのもあるかもしれん。
最後の方結構不真面目な話になりましたが、使えるけど捨てないとならんっていうことがあるよってことで。
今回はここまで。また来週お願いします。

2019年4月2日火曜日

漢方薬って?


ぐぐたす最後の更新というか、見られるんだろうかってところなんですが。
今回は漢方薬について。だいぶ前にリクエスト来てたので

漢方薬ってのは正直薬剤師のわたしもよーわからん薬なんですよな。
ベーシックな葛根湯の材料を紹介すると
葛根、麻黄、桂皮、芍薬、生姜、大棗、甘草
これらの生薬を一定割合で混ぜて抽出した液ってのが葛根湯なんですが、液体だと大量に飲まないとならんので
そいつを乾燥させて顆粒や錠剤にしたものが一般的な医薬品として使われます。
西洋薬ってのは有効な成分が単一であり、単独で効果があるってものなんですが、漢方ってのはそういうのではなくて
単品では効果がなくて混ぜることで効果があるっていうものです。
生薬に含まれている有効成分っていう感じでより詳細で分析、単離して使うこともあるんですが微量に含まれている成分込みで
効果があったりするっていうファジーなところがあってなかなか難しいのです。
例えば甘草の主成分はグリチルリチンで合成も可能、麻黄もエフェドリンで合成可能。
こういう合成物を混ぜれば完全合成の葛根湯ができるのか?というとそうはうまくはいかないみたいです。
料理とかと同じで、生薬に含まれている微量な成分がうまいこと合わさった結果効能を発揮するっていう不思議な薬なんです。
このあたり傷寒論とか一応理論的な話もあったりするんだけど、結構ふわっとした話になって西洋医学とはちょっと違う学問。
気血水の流れが悪いとか滞っているとか足りないとか、そういう結構あいまいな話になってきています。
学問としては面白いんだけど説明しても胡散臭いと思っている人を納得させられるほど説得力があるもんでもないかなぁと。
もしそれだけ説得力がある理論体系だったらもっと広まっているでしょうし、保険請求から外されそうになるってこともないと思います。
勉強していくと料理の調味料の組み合わせみたいな感じでなんとなくわかってきたりはします。
だけど成分の科学的なエビデンスっていうのはほとんどなく、使ってみたら効いたっていう感じなものも多いです。
理論系というよりも感覚系な感じっていうとわかるかなぁ?このあたり説明が難しい。
使ってみたらよく効いたけど、成分をより細かく分けて分析したけどどれが効くのかわからなかったって薬は漢方でなくてもあります。
ノイロトロピンとかがそうなんですが、あれは単品では効かなかったが混ぜたら効いた。それ以降の分析はコスト問題もあってやってない。
そんな感じの薬ですかねぇ。

漢方だと補中益気湯とか六君子湯とか西洋薬ではないカテゴリーの薬ってのもあるし、結構使ったりします。
ただ、漢方薬だから副作用がないとかそういうこともないです。
小柴胡湯とか間質性肺炎起きて死人が出ているし、インフルに使う麻黄湯も理論知っていないとむしろ悪化します。
使うならばきっちり勉強した上で使うべきですし、素人が生兵法で「私の症状にはこれがあっている(ソースは雑誌)からだして」
とかやっちゃうとあんまりいいことにはならないかなぁと思います。
本格的な漢方医だといわゆる補剤っていうものをエキス剤に加えて使ったりするし、さらに進むとエキス剤を使わなくなったりします。
そういう処方箋が回ってくると通常の調剤薬局だと対処できないので、時間がかかっても門前薬局に行ったほうが良いと思います。
わたしの意見をいうならば、ちゃんと勉強している人がその上で使うならば有効な武器になるんだけど
説明書に書いてないことまで知っていないと使いこなせないし、逆効果になることもってとこでしょうか。
あんまりまとまっていない文章になりましたが今回はここまで。
また来週もよろしく。