2019年2月21日木曜日

副作用が口内炎?

ちょっと時事ネタっぽいのを。
堀ちえみさんが「普段飲んでいる薬の副作用で口内炎ができるから」という理由で発見が遅れたという話がありました。
これを聞いて「ああ、リウマトレックスですか」と薬屋は薬を察することができるのです。
成分名がメトトレキサートという名前、先発の商品名がリウマトレックスというもの。
名前の通りリウマチに使う薬なんですが、がんとかにも使ったりします。
今回はこれについてどんな薬かを書いてみましょう。
難しいことをざっくり省いて説明すると
細胞が増えるにあたって、DNAの複製ってのができないと先に進みません。
DNAコピー機みたいなものがあって、それの潤滑油ってのが葉酸というものがあったりします。
このメトトレキサートという薬は偽潤滑油みたいな感じなもので、これがあるとコピー機が動かなくなります。
がんにしてもリウマチにしても過剰にコピー機が動いている状態だったりするのでちょっと弱めてやることで、がんが増えにくくなったり
リウマチの症状が進まないようにすることになります。
ただ、毒薬みたいなもんなのでリウマチの場合は正しい潤滑油を定期的にさす必要があります。
具体的には月曜に偽物、水曜に本物みたいな感じで使います。
さて、これがなんで口内炎につながるかと言いますと
・メトトレキサートが割とすべての細胞に対して無差別に効果があること
・口の中というのは細胞の再生、っていうか細胞の回転が早いこと
がん細胞ってのはとんでもなく再生スピードが早いわけで、コピー機故障の影響が強く出ます。
それと同じ理由だと思ってもらえればわかりやすいのかもしれませんね。
髪の毛とか口内炎とか、回転サイクルが早い所は抗がん剤使うとダメージがでかくなるというわけですね。
他の副作用として、免疫関連のダメージからかぜを引きやすくなるとかあったりします。
飲み合わせのうるさいし、致命的な副作用もあるので注意が必要な薬。
わたくしが薬剤師になったころには使える医師が結構限られてたし、問屋もどこからの処方ですか?という問い合わせも多かったです。
今だと当たり前に使われますが、当時は自分が新人ということもあって、結構ビビりながらだしてたもんです。
と今回はここまでと、普段はなるんだけどちょっと書きたいことがあるので追記。
ツイッターにも書いたんですが、今回の堀ちえみさんの件は歯科医とかは責めれんよなぁと個人的には思います。
例えば
風邪、もしくはインフルだと思って医者にかかったとする。
そうした場合そのあたりは調べるんだけど他のところはなかなか調べません。
インフルので陽性ならばインフル、そうでなければ風邪と診断して対処するということになると思います。
今回の例だと上記の薬のミスリードってのもあって、発見が遅れてしまったという感じですかね。
これを誤診と言われればどうなのかもしれないけど、その鑑別なり専門医に振るっていうのはそれなりにスキルが必要。
口内炎だろうと疑わなければ振るってのも難しいでしょうし、実際に当たったことない症例なんかは鑑別って不可能に近いと思うし。
よほどの天才医師かわからんことはみんな丸投げにするぐらい無責任な医師でもないと難しいと思います。
これを責めてもいいこともないし、メディアが叩きすぎて仕事できなくなったらそれはそれで大きな損失だと思います。
相手が著名人だから叩く相手が欲しいってのがあるかもしれませんけど、そういうのはナンセンスだと思います。
医療人であってもミスはあります。自分だって何度もやらかしたことあります。
仕事辞めろ!っていうのも言われたことあります。
ですが、やりたくてやったミスなんてあるわけないので感情だけで追い詰めるのは止めていただけると医療者はありがたいと思います。
というか、医療者に限った話でもないと思うんですけどね、こういうの。
はいこれで終了。また来週もよろしくお願いします。

2019年2月15日金曜日

消費税増税と医療費

今週は棚卸があってちょっと忙しいので軽めに早めの更新です。

今週は消費税のお話。

医療費っていうのは非課税ではあるんですが、消費税が増税されれば薬の仕入れコストも増税分高くなります。
また、その分物価が上がるため、いわゆる自営業の薬局は原価はあがるし、それ以外の出費も上がるけど非課税だから
収入はそのまま・・・ってことになんですが、このあたりも考えられておりまして、消費税が増税されると薬価と医療報酬が見直しになります。

薬価改定は特に無ければ2年ごと、4月に行われます。
その時に医療報酬改定があったりして、基本料が変わったり加算がついたり減ったりということが起きます。
普通にいくと平成32年(便宜上こう書きます)のときに薬価改定と医療報酬改定があるんですが、今回は平成31年の10月にそれが行われます。
ただし、医療制度の改定はここでは行われず薬価と医療報酬の点数の微調整が発生します。
なので9月と10月では同じ薬がでても金額が変わってくるということがあります。

薬価改定ってのは基本的マイナスなんでけども、今回は消費税が2パーセント上がるためその分を加味しての改定なので
中には高くなるものもあるかもしれません。こればっかりは蓋をあけてみないと分かりませんね。
普通の商品であれば消費税上がる前にいっぱい買おうという話もあるんですが、取引価格が薬価の〇〇%×消費税っていうかんじでやっていると
改定で大幅にさがるのであれば在庫ぎりぎりまで抑えて薬価改定が終わったら仕入れるという形になるかもしれません。
そうなると9月の終わりのあたり在庫がないですということになってしまうかもしれません。

もしなるとしたらそういう事情だと思われますので許してください・・・って許してくれんよなぁ。

というところで今回はここまで。
はやいところ棚卸の準備を終わらせてこよう。

2019年2月10日日曜日

製薬会社の問屋をしぼるという行為

アムバロのはあくまで臨時。今週の更新です。


先月の話です。
ノボ・ノルディクスという製薬会社がメディセオ(日本一の医薬品問屋)と取引契約の更新をしないと発表。
それとともに数社とも取引契約更新しないということになりました。
わたしの周りですと中北薬品が該当しました。
4月以降契約更新のない問屋からは薬局から仕入れることができなくなります。

なんでこういうことになったかというと、ノボ・ノルディクス社が経営体質の効率化を理由にやったと思われます。
販売できるところが増えれば販路も広がっていいじゃん。なんでわざわざ狭める必要があるの?って思うかもしませんが
販路に穴が無ければ減らしても問題ないし、減らせばその分のコスト減らせるじゃないっていう話なのです。
いちばんでかいメディセオ切ったってのはよーわからんけど切ったらコストがずいぶん減るから、なのかもしれませんね。

製薬会社が問屋を縛ると他にもメリットがありまして。
例えばコカ・コーラを売るとする。
500のペットボトルを自販機で売ると基本160いぇんなです。
コンビニで売っても大体そんなもんだけど、期間特売とかで129いぇんとかになったりします。
スーパーとかディスカウントストアで売ると安売りが常態となってしまい、ほかの店舗より安くっていう状態になります。
78いぇんとかそれぐらいになってしまいまして、自店より安い店舗があればそれに合わせたり下通したりしてきます。
と、取り扱い店舗増やすと値崩れが発生することがあるんですよね。

医薬品というのは薬価っていうもので価格が守られているものであるんですが、実際の問屋から入ってくる掛け率っていうのは
まちまちだったりしますし、他の問屋の入り値がわかればその下を通そうというところも出てくる。
これは問屋が身を削っているだけであって製薬会社は関係ないと思われるかもしれません。
でもね、役人は薬価100いぇんだけど実際の取引価格が50いぇんだと分かると次の薬価改定で薬価50いぇんでいいんじゃね?ってこと言ってきます。
問屋が値崩れさせてると次の薬価改定で製薬会社の売り上げが減るというのにつながりかねません。
だから、問屋を削っても製品が行き届くならば取引問屋を減らすってのは流通コストの面でも値崩れ防止という点でも合理的ではあるのです。
外資系の会社だと結構そういうのも良く行うみたいですね。

極端な例だと1社にしてしまうとかいうこともあります。
そうすると問屋と製薬会社の関係が良好ならば値崩れが発生しないわけなので、利益確保という点ではうまいこといきます。
まぁ、1社だと流通ってのが怖いってのはありますが。販路が全国網羅できなかったり、うっかりこけると100%死ぬっていうのがデメリットではあるんで
どこまでリスク見るかっていうのが大事になってきますが。

弊社のように幅広く受けてて複数の問屋と取引有ればいいいのですが、門前の個人薬局だと問屋1社だけとかもあるかもしれんですしねぇ。
「その薬はうちの取引先から入らないんで他でお願いできませんか?」っていうことが4月からあり得るのかも。

このノボって会社はインスリンとか成長ホルモンとか作っている薬。成長ホルモンってそうでるもんでもないので大体インスリンですかね?
ノボラピッドとかノボリンっていう会社がわかりやすい名前のも多かったりするので、もし使っている人いらしたら次回薬局で薬剤師に在庫大丈夫ですか?って
聞いてみるといいかもしれません。
え?そうなんですか?とか言ってくるようだとアレかもしれませんよ。

ということで今週はここまで。

また来週もお願いします

2019年2月8日金曜日

アムバロの件ちょっと追加

アムバロの件ちょっと追加 ざっとまとめると

・アムバロのファイザーの特定ロットに基準値を超える発がん性物質が入っている可能性があるので回収になった
・ロットなんかは公開しており、シートの一番上のところを見ればわからんでもない。
・薬局とかにある分は回収するんだけど、薬局から患者に払い出したもんは基本回収なんかしない。

・が、患者向けの案内文に
アムバロ配合錠「ファイザー」を服用されている患者様は、製造番号をご確認いただき、 回収対象製品をお持ちの場合(製造番号が不明の場合を含め)、速やかに同製品を受け取った 医療機関/保険薬局にお申し出いただくようお願いします。

とか書いてある。ちなみにこの案内文はファイザーの医療関係者用のサイトにありました。

問題は医療機関に患者からの申し出があった場合どうしたらいいかというのが書いてないんですけど。。

ファイザーの対応ダイヤルに連絡しろっていうのかしら?
それとも以下のことを薬局や医療機関で説明しろというのかな?

患者向け案内文に書いてあるのをそのままコピペ

【安全性の評価について】  厚生労働省より「サルタン系医薬品における発がん性物質に関する管理指標の設定につ いて(依頼)」により、ヒトにおけるNDEA及びNDMAの健康への影響を勘案した管理 指標が設定されています。この管理指標では、有効成分「バルサルタン」の一日最大投 与量160㎎にて許容されるNDEAは0.166ppm、NDMAは0.599ppmとされています。
 回収対象とする本製品の有効成分「バルサルタン」には、上記の管理指標をわずかに 超える0.20ppm及び0.23ppmのNDEAを、また規格は下回るものの微量のNDMAを 含有していましたが、これまでに健康被害の報告はありません。 
本製品を服用することにより健康へ影響するリスクは低いものと考えられます。 
医師または薬剤師に相談なく服用を中止することは⾼⾎圧症の悪化のリスクがあります。
本製品を服用されている患者様については、医師または薬剤師にご相談いただくよう お願いします。

要約すると
・基準量オーバー気づいたのは最近なんだけど、今までにそういう有害事象が発生したという報告ない
・入っている量からみると健康へのリスクは少ないが0ではないから回収する
・血圧の薬なので発がん性嫌ってこれの服用止めた方がリスクがでかいからやめてね(ってのがやんわりと書いてある)

ちょっとここからマニアックな話をすると
この薬の先発品はエックスフォージっていう名前で、それのオーソライズドジェネリック(先発の完コピ品)はサンドってところが出している。
サンドのアムバロは他のと比べて先行発売しているのでシェアがかなり高いと思われるが、ファイザーは会社でかいからその次位のシェアがあるかもしれない。

なんでそれなりに出回っているんじゃないかなぁと思ってます。

実際薬局にどうしてくれるんだ!って電話が来たらどうすっかね?
該当ロットだったら他社のジェネリックに変更して渡すって感じなのかなぁ?

患者から回収した分の回収ってのをやるとはファイザー言ってないから薬局の好感度を上げるため(もしくは下げない)にやる感じになるのかなぁと思ったり。
しかし発表が本日で週末かつ祭日挟むから実際の対応は結構遅くなるのかもしれませんね。

一応対応ダイヤルは今週末、祭日までふくめてやってるって。

【問い合わせ先】 ファイザー株式会社 アムバロ配合錠「ファイザー」専用ダイヤル 0120-281-787 (平日9時〜17時30分 2月9日(土)、10日(日)、11日(祝)は対応)

ですって。

ひとまずこんなところで。
質問あったらコメ欄に書いてちょ。

アムバロ回収のお知らせ


臨時更新
アムバロというエックスフォージのジェネリックが回収になりました。
理由は発がん性物質が規定以上に入っている可能性があるため。
今回のはクラスⅠの回収で結構やばめです。
健康に因果関係が発生しうるというレベルなので。
ただ、特定ロットだけなので薬が品薄になるということはなさそうです。
患者にわたっているものが回収ってことはないのでそこんとこ誤解なきよう。

2019年2月3日日曜日

くすりの発売中止が起きると?

ブログに移転ということもあってちょっと頻度を上げてみましょう。
医療用の医薬品ってのは品質とか結構うるさいので、うっかり引っかかると製造中止、発売停止とかなったりします。
先日デザレックスというアレルギーの薬が全ロット回収となり、花粉症シーズン前にレースから脱落という記事を書きましたが
あれに関していうと品質ではなくて保管所の書類上の不備とかいうわりとどうでもいい話で回収となりました。
今回回収になったのがブロチゾラム錠0.125mg「NP」というもの。
レンドルミンという睡眠薬のジェネリックと言えばわかりやすいでしょうか?
メーカーの文書を引用
昨年、弊社が製造販売しております『ブロチゾラム錠 0.125mg「NP」』に関しまして、本製 品の長期保存試験(25℃60%RH、24 箇月時点)において、
類縁物質が承認規格に適合しない 結果が得られましたので、同一事象が懸念される製造ロットを自主回収しました。
薬とは言っても化学物質なので経年劣化するんですけどもそれが安定性が悪いとダメってやつなんですよね。
3年とか5年とか期限があるやつなのでロットのサンプルを取っておいて2年たった後に検査してそれがダメだったら回収。そんな感じの物です。
じゃあ、今まで出ていた不良品はどうなるんだ!って話になると思いますが
こういうのは100%の効果があるものが実際は99%でしたって感じのものなので、効能としてはまず影響は出ません。
が、書いてあることと違うのでペナルティとして回収というものなのです。
こういうのは割とよくあるはなしなんですが、今回わざわざ記事にするのは代わりの薬がないこと。
ジェネリック医薬品の場合隙間産業的なところもあって、先発品では作っていない規格を作ったりすることがあります。
先発のレンドルミンは0.25mgの錠剤であり、用量調節する場合は半分に割ったりして使います。
そういう手間がかからないのはいいことなんですが、全体のパイとしてはそんなにないので0.25が20社ぐらい出しているけど0.125のは1社だけ。
その1社が作れなくなってしまうと市場に存在しなくなってしまいます。
・・・今回はメーカーのアナウンスがきちんと行われていたおかげもあって、今まで0.125が出ていた人の処方箋がきちんと0.25に直っていました。
半錠にしてという処方が来てて結構手間ではありますけど、まぁなんとかといったところですかね。
一方メーカーが作るのをやめてパニックになっているものがあります。
製薬会社だって営利企業なわけで、作る作らないってのはある程度自由だったりします。
なんですが、シェアが圧倒的にトップなところが急に作るのをやめる宣言をすると困ったことになります。
スローケーというカリウムの補給する薬なんですが
・2018年10月に製造やめるで。在庫はまだあるけど1月ぐらいになくなるからよろしく
→「ええっ!なんだって!?早いとこ在庫確保しないと」ということで発注発生しまくり、流通が間に合わなくなり出荷調整かかる
→在庫はあるけど需要の方が多すぎてむしろ流通しなくなる
→じゃあジェネリックで確保だ!ケーサプライを確保せよ!ちなみにスローケーのジェネリックはケーサプライしかない。
→個人的な印象なんですがスローケー:ケーサプライのシェアって8:2とか9:1とかなんですよね
→ケーサプライ「もう無理っす!」。ケーサプライも流通規制がかかる。
→患者「薬がないってどういうこと?死んじゃうんだけど?」
こんな感じの状態。
さらに患者が先発医薬品信者だったりすると事態はさらにややこしいことになる。先発なんてねーよ!。
というかですね、シェアの9割取っていた薬がなくなって残りの1割のところが受け皿になれるかっていったらできる訳ねーだろ!っていう話です。
ジェネリックメーカーって生産能力が先発メーカーみたいにあるわけでもないし、1錠5.6いぇんの薬に社運をかけて増産体制っていうのも効率悪すぎるし。
なので、スローケーが出ている患者さんにはしばらくご迷惑かかると思いますがこういう状況ですのでご理解ください。
スローケーと似ている薬っていう点ではグルコン酸カリウムなどもあるんだけど、粉だし換算するのがめんどくさいし、吸収とかも違うからとなかなか切り替わらないです。
ということで今回はここまで。
来週もよろしくお願いします。

2019年2月1日金曜日

どくいり きけん たべたら 死ぬで


・・・ナウなヤングには何のことだかわからんだろうけどここの読者はたいてい自分と同世代だろうから何のことだかわかるでしょうよ。
先週ニュースでありましたが、都内の14社は製薬会社11社、食品会社1社、朝日新聞東京本社、毎日新聞東京本社に青酸カリと脅迫状が送られました。
今のところ薬に混入されたということはないのですがお役所から通達が来ました。
詳しくは写真参照なんですがざっとまとめると。
・納品された商品に異常がないか確認せよ
・怪しい人が薬品庫に入ったりしないように注意せよ
・怪しい品物見つけたら警察に通報せよ
こんな感じなのですが、こういうのは前例があんまりないです。
去年肝炎の薬で偽物がでて流通について注意せよってのがあったんですが、これは薬がクッソ高いから偽物にすり替えて大儲けって感じのもので
今回のやつとはちょっと違うんですよね。
肝炎の時のやつはいわゆる現金問屋で薬に箱ついてないけど安くしとくからいいよね?って感じで付け入る隙がありました。
いやがらせが目的だと別のところが危なかったりします。
薬局に忍び込んで大量に出る薬のうち1シートだけ差し替えるとかされると監査を抜けて患者に届く可能性はありますね。
薬が盗まれればその時点で通報だけど、1シート差し替えとかだと正直判らんこともあります。
例えば84錠単位でよく出ている薬とか、あらかじめそのように束ねて用意しているところもあります。
その真ん中らへんのシートをこっそり差し替えたら多分そのまま出してしまうんじゃないかなぁ?
患者は直接見る機会があるんでしょうが、正直なところ大体似ていればうっかり飲んでしまうこともあるでしょう。
実際調剤過誤で誤った薬を渡してしまって患者が気づかず1月丸々飲んでしまったということもあります。
青酸カリの場合一回間違って飲んだら死んでしまうのでそりゃ結構うるさいこと言うよなぁという話ですよね。
なので、我々も気を付けるので皆様も国からこういう通達が出ているのを知っていれば防げることもあるのかもしれませんよってお話でした。
ひとまず今回はここまで。
今週はもう一つ更新するかもしれません。
よろしくおねがいします。


アーカイブ1月第4週

インフル蔓延してますね。
毎日のように患者が来ますし、日曜であっても2人ほどインフルの患者が来たりしました。
ピークはそろそろ終わりそうな感じもしますけどしばらくはかかるかもしれません。
それとは別個で麻疹が結構な範囲ではやっているみたいなので関連エリアの方は気を付けて。
今回は麻疹とインフルについて雑多な感じで書いていこうと思います・

麻疹のお話
今発生しているのが
三重20
愛知5
大阪4
岐阜3
東京2
栃木、滋賀、奈良、和歌山が各1

このうち5例が外国からもしくはどこから来たかわからんが、残りが国内発生というものらしいです。

発生しているところを見ると・・・まぁお察しくださいってところですね。これについてはニュースを参照したほうが良いかもしれません。
前にも書きましたが予防接種してないとほぼ100パーセントかかる病気なので、患者をうまいこと隔離するのが大事。
個人的には麻疹のほうが圧倒的にインフルよりもやばいと思うんですけど、学校感染症って区分的な話をすると同じだったりします。

出席停止の要件としては
インフルエンザ
発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで
麻疹
解熱後3日を経過するまで

実はあんまり変わらんのね。ただしインフルよりも麻疹のほうが病気の期間が長くなるし症状も長くなるから実質の期間は長くなるとは思いますが。

麻疹とインフルだと麻疹のほうが感染力高いんですがインフルのほうが圧倒的に患者数が多いです。
麻疹は上記のように数えられるけどインフルは何百万ってレベルで蔓延しています。
これは何でかというと

・予防接種の効果&1度感染してしまうと大体かからない
麻疹はよっぽど免疫力が低い人でないと生涯免疫があるからかからないっていうのがあります。
インフルエンザも予防接種ありますが1シーズンしかもないし、インフルエンザって幅がめっちゃくちゃ広い病気なので
きっちり型まで当たって効果があるって感じなのですね。
あらかじめ流行りそうな型を予想して接種するんですが外れるとあんまり効果がなかったりする。
今年大流行しているのはそういうのも原因なのかもしれません。
あまりに流行っているので弊社ではインフルになった人に予防接種したかって調査してるとかですし。

・麻疹は流行ると手に負えなくなるので本気で囲い込みにかかる
保健所の人とかが感染者の動向を発表したりという徹底ぶり。追跡できるだけの数しかないっていうのもあるのかもしれませんが
もう無理!って状態になってしまったら本当に目が当てられません。

・麻疹は症状が分かりやすい、というかインフルとただの風邪の区別ってのが難しい
風邪だと思って頑張って働いたりしたらインフルで結構まき散らしたってのは割とある話。
診断キット使えば鑑別はできますけど、タイミングによってはインフルであっても反応出ないですし。
キットで反応がないのでただの風邪ね!とか言ってくる医師もいれば、状況的に陰性だけどインフルでしょうという医師もいます。
あと、インフルなら休みになるけど風邪だと休みにならないっていう職場環境(弊社とか・・・)ってのもあるのかもしれないです。
インフルエンザってのを免罪符にするってのはあんまりよくない話なのですが、そういう会社って結構ないですかね?
風邪でも休める環境ってあるといいね。

こんなところでしょうか?

あとはインフルはタミフルやゾフルーザみたいな薬があるんだけど麻疹はないってのも差なのかもしれません。
とはいえ、インフルに抗ウイルス剤ってのは必須ではないし、タイミング逃すと意味がないです。
インフルだけどそういう薬が出ない状況ってのはあり得る話なのです。
どういうことか模式的に書くと

・インフルエンザは7ターン継続するステータス異常とする
・抗インフルエンザ薬ってのは7ターンのステータス異常を5ターン減らすという効果だけど効くまでのラグを考えると投与した2ターン後ら有効
・1ターン目に使うことができればインフルのターンを5ターン減らせるけど、投与が遅れると減らせるターンは減る。
・そもそも1ターン目に使えるなんてそうそうないし、5ターン目以降に投与してもほとんど意味がない

・・・薬理の先生とかから見たら怒られそうな表現かもだけど許してちょうだい。

麻疹はそもそもそういうのがないので、2週間ぐらいのステータス異常の間HP管理をきちんとやってしのげって感じの治療にります。

まぁインフルも直接治す薬ってのはないのです・抗インフル薬はステータス異常の回復を早める薬だけど減ったHPを回復させるもんではない。
HP回復は基本自然回復ぐらいしかないからこの辺りはきっちり休むのがどっちにしても肝要なのですね。

ここを読んでいる人でインフルの人もいるとは思いますが、そのあたりきちんと守ってください。
お仕事しているとなかなか難しいとは思いますが・・・


といったところで今週はここまで。
また来週もよろしくお願いします。

アーカイブ 1月第3週

インフルかなぁ?と思って医者にかかったけど結局陰性だったつかまるです。
喉がやたら痛くて、痰に血が混ざったり、咳がでたりって高熱があったりとかでしたけど、咽頭炎+風邪が過労でひどくなったって感じなのかもしれませんね。

週末温泉に入ってだらだらするってのを繰り返して体調を治していました。
インフルでないと、体調崩したタイミングで食らいかねないので気を付けたいところです。

今週は先週にちょっと近いかもだけどエビデンスのはなしを

エビデンスって書くとわかりづらい人もいるのと思うので書き直すと、根拠とかそういう意味だと思ってくだされ。

なんでこれがくすりのはなしに絡んでくるかと言いますと。

病気を診断して治療方針を立てるにあたって、その方針に根拠がなかったら意味ないでしょ?という話なのです。

先週書いた風邪引いたら抗生物質ってのも根拠っていう点ではすごく薄いのです。
最近では根拠がないのに薬を出すっていうのはかなり減ってきました。
特に若い医師はエビデンス重視した処方が多いのではないかなぁ?と思います。
逆に開業医のおじいちゃんとかは「素人は黙っとれ」的な処方があったりします。
長いことやってる開業医からしたら、自信の経験を元に処方することもあるとは思います。
学術的に見てそれが正しいかというのはまぁ置いておくとしても、根拠がないとなかなか医師は動いてくれません。
詳しくはWikipediaで根拠に基づく医療って項目みてみるとよいかも。

で、ここでインフルのお話に繋いでみる。
ちょっと前にインフルの薬一覧&特徴の記事を書きました。
それによるとゾフルーザが頭ひとつ抜けてるんだけども、未だにイナビルやタミフルが出たりするのです。
特に小児だと頻度が高かったりするのです。

なんで?って話になるかもしれませんが上記の話を考えてみると合点が行きませんかね?
カタログスペックは確かにすごそうなんだけど、実際使ったことないからそのあたりよーわからん。
その点タミフルとかイナビルなら何年も使ってる薬だから、その点勝手がよーわかっとるから使いやすいってのがあります。
子供とかだとデータがさらに少ないので、使うのはけっこう勇気要ります。
データ少ないけど多分大丈夫だから、とか言ってもなかなかOKでないでしょうし。
なので初年度はおっかなびっくりで出すことになると思うので、ほかの薬もそれなりに出るんじゃないかな?と思います。


エビデンス重視派だと、逆にゾフルーザ出してよ、って患者が言ってきたらある意味チャンスなのかも。
「自分としてはエビデンスの高いイナビル推しなんですが、患者さんが言うならしかたないなー(棒)」
って感じでデータ取れますからねぇ。

とはいえ、これだけ流行してると医師としても十分なデータが確保できたのではないかなぁ?と思ったりも。
今まで使わなかったけど、回り見てたら大丈夫っぽいのでうちでも使うかってところも出てくるんじゃないかな?と思います。

実際見てて子供はタミフル(そのジェネリック)がまだ根強い感じ。
子供に出るのは来年からかなぁ?ってところですかねぇ。


といったところで今回はここまで。
また来週もよろしくお願いします。