2019年5月26日日曜日

ブルーレター

ひさびさにブルーレターっていうものが発行されました。
https://www.pmda.go.jp/files/000229598.pdf
安全性速報、通称ブルーレターといいます。
医薬品のうち添付文書に書いてあることよりもやばい副作用データが報告されるとこういう紙が発行されます。
具体的にいうと死者がでるレベルの場合だとこういうのがでるんですが、そんなに頻度があるわけではありません。
でたのは4年ぶり。
今回出たのはベージニオっていう乳癌の薬で副作用による間質性肺炎で死者がでたため。
もっとやばいやつだと緊急安全性情報っていう形で発行され、これはイエローレターと言います。
https://www.pmda.go.jp/files/000147877.pdf
こんなの。
最後に出たのは平成19年のタミフルによる異常行動について。
タミフル単品で死人出ているわけではないんですが、二次災害的なもので死人が出ているからの発行でしょうね。
今回のベージニオっていうのはそこまで使われている薬ではなく、わたしは触ったことないんですが
こういう命に係わる副作用があるということを知らないってのはまずいですからね。
絶対知っておきなさいっていうものはこうやって通知されるわけです。
こういうのが出たからといって販売中止になるとは限らないんですが、リスク管理を加味して販売中止を判断する材料にはなったりします。
似た効能があってリスクが少なければそっちを使うわけで、これがきっかけで傾くこともあるのでしょうね。
製薬会社としてはこういうのが出ると都合が悪いんですが、そういうのを隠してやらかした事件ってのが過去にあるので
そういうのを繰り返さないっていう意味でも情報をわかりやすく公開するっていうのが大事なのですね。
最後に一つ。
これが出たからといって、その薬が使えないぐらいリスクがある薬というわけではないです。
副作用があるというのを周知して対策すれば薬としては使える。
でもそういうのを知らずに使うとやばいからあらかじめ頭に入れとけよ。
そういう話です。
タミフルだっていまだに販売されていますからねぇ。
副作用あってもうまいこと使えば有用な薬ってあるわけで、そういうのは無理になくす必要はないですし。
ということで今週はここまで。
また来週もお願いします。

2019年5月17日金曜日

近未来の薬?

キムリアっていう白血病の新薬の薬価が発表されました。
効能は
再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病と再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
CD19陽性っていうのが何のことだかわからんという人も多いと思いますが、特殊な属性だと思ってください。
RPGのアンデッド属性とかそういうやつ。ジルワン食らうと死ぬとか、ケアルでダメージ、レイズで死んで、デスで全快とか。
特殊な属性があるとそこをついて一転攻勢にでることができることがあるのです。
ただ、この薬ってのは今までの薬とは異なる全く新しい薬なんです。

この薬は出来合いの薬ではなく、患者それぞれに対してオーダーメイドの薬なのです。
おおざっぱにこの薬について説明するとですね
・白血病ってのは免疫細胞系の異常でおきます。ただなったとしても100%いかれる訳ではなく、一部大丈夫なものもあります。
・便宜上白血病ってのがアンデッド属性で放置すると徐々にアンデッド化する病気だとしましょうか
・血液(厳密には違うんだけど便宜上)を採取して、それを分離して特定の細胞を抽出します。
・その特定の細胞にアンデッド特効の属性をつけて培養します。
・患者の免疫系を全部(厳密には全部ってむずかしいので99.999%ぐらい)ぶっ壊します。そのまま放置すれば死んでしまいますが、無菌室とかでケアしてください。
・ここにアンデッド特効ついた細胞を戻します。
・これがうまいこと定着すればアンデッド化はとまり、病気は快方に向かう。
ざっくり書くとこんな感じですかね?
アンデッド特効をつけるとさらっと書いたんだけど、これってのは遺伝子を組み替えるというか組み込む感じになるのです。
自分の細胞に別のもんを組み込むって書くとけっこうやばいのでは?と思う方もいるも?
マイルドな表現ならばガンダムSEEDののコーディネーターみたいなやつだし、仮面ライダーとかデビルマンとかそういうものといっていいかもしれないかも。
さて、ここで問題。これだけ近未来的な治療が行えるようになってきたんですが、この薬っておいくらでしょう?

答え
3349万3407円
・・・正直目を疑う数字ではあるけど、それだけ画期的な薬ということで。
誰でも受けられるわけではなく、25歳以下で既存の治療でダメだったとか結構条件が厳しいと思います。
最初の一回目が行われればニュースになるのではないかなぁと思います。
頻繁に行われれば財政が壊れることもあるとは思いますが、このあたり結構慎重に行われるんじゃないかなぁと思います。
今回は白血病の治療薬でしたけど、ほかにもこういう治療で治る病気ってあると思います。
今後の動きが気になりますね。
というところで今回はここまで。
また来週お願いします。

2019年5月7日火曜日

エパデール1類へ

エパデールっていう薬があります。
EPA(エイコサペントエン酸)という青魚に含まれる油が有効成分で、中性脂肪を下げたりする効果があるものです。
一応市販品も大正製薬から出ていたんですが、要指導医薬品であり、大正製薬の研修を受けて認定バッジ持っていないと売れない商品でした。
あ、わたしは発売当初に研修を受ける羽目になったのでバッジ持っています。
これが4月に要指導医薬品から1類医薬品に規制緩和されました。
薬剤師が売らないとならんけど、普通に売れるような感じになりました。
・・・なんだけど1類に緩和されたのは良いけどずいぶんと面倒な条件を付けてきました。
患者が服用後の血液検査を医療機関で必ず行うことや販売時に用いたセルフチェックシートを2年間保管することを薬局等に義務づけ
求めに応じて製造販売業者に提出するなどを求めた。
とのこと。
・・・くっそ敷居高くないですか?
というかですね、医療機関で血液検査しろというならそもそも医療機関で出してもらえばよいのでは?
もともと医療用医薬品であるので、副作用もあるわけでしかるべき人が管理しないとならんわけです。
でもセルフメディケーションを行うことで公的な医療費を減らしたいから規制緩和したのたと思います。
安全性を担保する、医療費を減らす、これをどっちもやらないとならないというのをクリアしようとしたら
こういう現状にそぐわないチェック体制になってしまってしまってるんじゃないかなぁと思います。
ちなみに市販のエパデールってくっそ高くて今までに数えるほどしか売ったことないです。
医療用だとジェネリックもあったりするのでそういう意味ではトータルの金額は少なくなるような気もしますがどうだろ。
とりあえず今回はこういう医薬品もあって買おうとするとめんどくさいことになるよーっていう紹介記事ってことでひとつ。
また来週もお願いします。