2022年6月9日木曜日

やせ薬のはなし

最近ツイッターのタイムラインに漢方のやせ薬的な使い方とか、糖尿病薬のそういう使い方が上がっているので ちょっとそういうのについても書いてみましょう。 保険医療で医療用医薬品を処方箋だして調剤してもらうということは、ルールがあってそれを守って使うことになります。 例えば防風通聖散とかは適応に 腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症: 高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘 とあるので肥満症に対して、すなわちダイエットに使うことが可能です。 こういう漢方薬だと防巳黄耆湯とかも使われることがあってこっちの適応は 色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛するものの次の諸症 腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順 とあって、これまた肥満症の文言があるのでこれも使うことは可能です。 ただ、成分とかは違うので体質や症状によって使い分けが必要だったりします。 一般的な話をすると便秘や脂肪太りならば防風通聖散、むくみがあって水太りタイプなら防巳黄耆湯を使います。 なので、「これを飲むとやせるって聞いたから」ってことで防風通聖散を飲み始めたら 「飲んだら下痢した。これは副作用じゃないんですか?」みたいな話があったりします。 つかまる「そりゃそうじゃ」 防風通聖散って半分下剤みたいなものだから、下剤を飲んで下痢をしたってだけで何がおかしいんだ?って話なのです。 「やせる」というのは結果であって、薬がどういう効果が出るからやせるっていうのを理解していないとこういうことが起きます。 漢方薬の中でも葛根湯、ヨク苡仁湯、麻杏ヨク甘湯、通導散、麻黄湯とかをダイエットに使うことがあります。 が、葛根湯の適応は 自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症 感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん ヨク苡仁湯だと 関節痛、筋肉痛 これしかありません。 肥満症なんてことはどこにも書いてないんですが、入っている生薬に代謝をあげて食欲を落とすマオウが含まれているので 使うことでやせ薬として効果があったりします。 保険通すために肩こりとか関節痛があるということにして処方したりすることもあったりします。 成分的にダイエットとして使えるので、これを合法的に保険通すために肩こりとか関節痛の患者ということにするということをやっていたりすることもあります。 ・・・まあ、これはダイエットに限った話ではないんですけどもね。こういう薬が出したいから病名を付けるっていうのは割と常態化してたりしますし。 とはいえ、これは医師がきちんと診断して出しているんだったらまだいいんですよ、 問題になるのは 「友達が〇〇医院でこういう薬を飲んでいる、わたしにも出してほしい」っていうのをそういう知識のないかかりつけ医師に頼むこと。 医師からしたら何で効くのかわからんというのを処方しろという話なのでねぇ。 でも、医師っていうのもサービス業的な側面もあるから、押し切られて処方してしまうこともあったりします。 このあたり結構危ないよなぁと薬剤師的には思っているんですけど、「やせる」という事象のみ求める人からみたら気にならないのかなぁ? 漢方ではなくて最近はメディカルダイエットという名前でGLP-1作動薬を使わせるものがあります 3つのポイント Point1診療はオンラインで完結 Point2最短当日到着 Point3初診でもすぐに受診可能 とか 運動不要 食事制限不要 外出不要 オンライン診療 とか GLP-1メディカルダイエットの特徴 GLP-1は、血糖値が上昇した際にインスリン分泌を増やすため、低血糖を起こしにくくなります。また、血中の血糖値をコントロールしたり、食欲を抑制するはたらきもあります。 といいことしか書いていないんですよね・・・。 元々糖尿病の治療薬として開発された薬なので頻度は0.1%程度とはいえ、膵炎や低血糖などの重篤な副作用ってあったりしますし。 本来はダイエット目的で開発されたものではないので、ダイエットで使うと副作用の保障対象外なのですよね。 そういうリスクを全部知ったうえでやるんであればいいんですけど、そう言うのを知ろうとしないのに使うのは危ないよと思います。 もしもそういうのを試してみたいのであれば一度専門家に聞いてみたほうがいいと思いますよ。