2021年7月23日金曜日

コロナの最新治療


7/19に厚労省はコロナウイルスに対する抗体カクテル療法の薬を承認したのでこれについて紹介しようと思います。

ロナプリーブ点滴静注セットっていう名前で作っているのは中外製薬。
通常抗体っていうのは免疫反応として体の中で作られるものなのだけど、これは完成品をぶち込むというもの。
それもカシリビマブっていうのとイムデビマブという2種類を混ぜて使うため、カクテル療法って言われています。

・どういう薬?
ざっくり書くと
ウイルスに体が感染している状態、言ってしまえばマフィアが占拠している状態のところに
警察なり軍隊なり送り込んで制圧するという感じ。
ウイルスを殺すというよりは逮捕するという感じなのかな?


・なんで混ぜるの?
コロナウイルスって変異しやすく、攻略法を見つけても対処されやすいのです。
手錠があって、それを付けられても10%が抜けだすことができたとする。
それが耐性つけて主流になってしまったらその手錠はほとんど効かなくなる。
これを手錠と足枷みたいな感じで合わせることで脱出確率が格段に下げることができる。

重症の細菌感染症とかでも用いられるし、HIVなんかは3種類ぐらい混ぜて耐性を許さないような感じでやったりしているのです。
手技自体は割と使われているおはなし。


そんで添付文書が手に入ったので見ていますが、面白い項目を発見。

18.2 変異株に対する効果
In vitro における検討において、懸念すべき変異株(VOC)及び
注目すべき変異株(VOI)のうち、alpha株(B.1.1.7系統)、beta
株(B.1.351系統)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)、
epsilon株(B.1.427及びB.1.429系統)、B.1.526.1系統、zeta株(P.2
系統)、eta株(B.1.525系統)、theta株(P.3系統)、iota株(B.1.526
系統)、R.1系統、kappa株(B.1.617.1系統)及びB.1.617.3系統
のスパイクタンパク質の全配列又はその主要変異に対して本剤が
中和活性を保持していることが示唆された。

変異株に対するチェックも既にやっているのですね。
これはIn vitro(試験管内)のデータだから生体内でうまいこといったというデータではないんですが
・通常投与でノーマルウイルスとエンカウントし、逮捕できるという設計
・変異株であってもエンカウント方法は変わらない
・エンカウントしてしまえば変異株であっても逮捕は可能という実験データあり。

∴上記変異株であっても効果があると思われるって感じ。
あんまり一般的になっていないけどイオタとかカッパとかそのあたりまで変異株はあって検証しているんだなぁと。


・どういう人に使うのか?

添付文書より

5.1 臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による
感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対
象に投与を行うこと。[17.1.1参照]
5.2 高流量酸素又は人工呼吸器管理を要する患者において症状が悪
化したとの報告がある。[15.1参照]


酸素吸入が必要なぐらいやべぇ人には使うべきではない。つまり、軽症、重くても中等症ぐらいまでが対象なのかな?

対象について
1.SARS-CoV-2陽性(無作為化前72時間以内に採取された鼻
咽頭、鼻腔、口腔咽頭又は唾液検体を用いた抗原検査又はRTPCR
検査等により確認)
2.SARS-CoV-2による感染症に合致する症状を有すると治験責
任医師等が判断し、かつ、当該症状発症が無作為化前7日以内
3.酸素飽和度が93%以上(室内気)
4.次のSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を少な
くとも一つ有する
・50歳以上
・肥満(BMI 30kg/m2以上)
・心血管疾患(高血圧を含む)
・慢性肺疾患(喘息を含む)
・1型又は2型糖尿病
・慢性腎障害(透析患者を含む)
・慢性肝疾患
・免疫抑制状態(治験責任医師等の判断による。例:悪性腫
瘍治療、骨髄又は臓器移植、免疫不全、コントロール不良の
HIV、AIDS、鎌状赤血球貧血、サラセミア、免疫抑制剤の長
期投与)

まとめると
・感染して比較的初期で
・現状そこまで状況悪くなくて
・いろいろ爆弾抱えていて今後やばくなるかもしれない

そんな人に対して使うことができるって感じの薬ですね。

結構使える人が少そうなイメージですが、治療法があるだけまだ良いのかもしれませんね。


2021年7月15日木曜日

コロナ感染状況など

 だいぶ期間が開いてしまいました。やはり部署が変わって結構忙しくなってきましたね。

申し訳ございません。


今回はコロナワクチンの効果的とかを見てみましょうか


https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/by-age-tokyo/

ここに年齢別感染者の3~7月のデータがあるのですが


3月は30代以下が46%、それ以上が54%

4月が58%、42%

5月が57%、43%

6月が62%。38%

7月が62%、38%


と、これを見ると若い人の感染率が上がっているように見えますね。

逆に言うと高齢者の感染率が減ってきているということになります。

当然ながら、死者や重症化のしやすさっていうのは年齢が高い人のほうが起こりやすいので

感染者数が同じならばトータルの死者は減るということになるということですね。



感染者について

緊急事態宣言には効果がないみたいな論調があったりするけども

発令→しばらくしてから感染者が下がって解除してから微増するっていう状態だったりする。

データだけ見ると意味がないっていうことはないようなぁってなりますね。

が、東京の感染者だけみると異常に高いように見えますね。

首都圏と沖縄以外は結構落ち着いてきていますね。ここ数日若干上昇傾向ではあるんですが。

オリンピックというか連休で人の動きが出た結果どうなるかというのが見ものです。


ワクチン接種状況

ボトルネックがどこかっていう話になるんですが

・接種体制

・ワクチンの供給体制


この二つのうち、序盤は前者だったのですが今は後者になりつつあります。

100万回/日のペースで進んでいます。これが続けばよいのだけどもちょっときびしいかな?


7/14の段階での接種回数が6500万回ってところ。1回目済んだ人数だと4000万人ってところ。

日本の人口は1億2500万、15歳以下が1500万

対象が1億1000万でそのうちの7割が摂取するとして7700万人が接種することになる。


そうなると結構ゴール見えているような感じに見えるのだけどもね。

ワクチンが潤沢にあればわりと収束するように見えるんだけどもなぁ。



と、今回はこんなところ。

雑感みたいな感じですが。