2022年12月8日木曜日
食前に飲む薬
患者さんより
「この薬って食前服用じゃないですか。これって飲んだ後に何か食べないとだめですか?」
「食事をとれないタイミングだと飲まない方がいいですか?」
こういう質問をたまに受けることがあります。
・・・ふーむ、一般人だとそういう考え方になるのだなぁ。
食前に飲まないとだめというのは何らかの理由があるものが多く
①食前、すなわち空腹時でないと効果が落ちる
②薬の承認の試験が食前で行っているため、データがないから
③薬の効果タイミング的に食前である必要がある
だいたいこの3種類ぐらいかな?
これについてそれぞれ説明していきますか。
①について
これは食事をとらなくても問題なし。
薬が効かなくなるから食後はやめてね!という意味であって、その後に食事をしろという意味ではない。
②について
具体的にはプリンペランとかナウゼリンのような吐き気止めとか。
実施は①に近い感じなのでこれも食事をとらないとならないということではないのです。
じゃあ③ってなんなの?っていう話なんですが、血糖を下げる薬なんかが該当します。
具体的にはファスティックのような飲んですぐインスリンを分泌を促す薬。
食事で血糖値が上昇する→それを飲んで30分後にインスリンを出して血糖値の上昇を相殺するというものです。
これを飲んで食事をとらないと血糖値が上がっていないのにインスリンが出て血糖値が下がってヤバい。
なので、この場合は食事をとらないとならないし、食べられない恐れがあれば飲んではいけないというものです。
なので、論点としては「薬を飲んだとして食事をとらないとデメリットがあるのか?」というお話ですね。
たいていの場合はないのですが、上記に挙げたように血糖値下げる系の薬は要注意というところです。
あと、食前に服用というか食後だと良くないというものをいくつかリストアップ
・漢方薬全般。
胃の表面から吸収されるから食後のように胃の表面があいていないと吸収されにくい
・・・と説明すると患者は理解してくれます。
厳密にはちょっと違うけど、わかりやすさ重視の説明
・ビラノア
比較的新しめのアレルギーの薬で副作用も少なくて使いやすいが食後だと効果が落ちるので注意。
眠気の副作用無いけど空腹時である寝る前に服用推奨という変な薬
・ビホスホネート系の薬
骨粗鬆症の朝起きたらすぐ飲んでね。30分間食事も寝たりしたらだめよっていう縛りがある薬。
他のものとくっつく性質があるので食事があるとそっちにくっついて効果出ないし
寝っ転がると食道に張り付いてしまってそこで溶けて海洋になる可能性があるためという理由。
良く使われるものとしてボナロン35mgとかフォサマック35mgとかの週1回タイプとボンビバとかボノテオのような月1タイプがある。
一応ダイドロネルとかボナロン5mgとか毎日飲むタイプの薬もあるんだけど余りに使い勝手が悪いので改良されて週1月1になりました
・リベルサス
最近発売になった糖尿病の薬。
これもビホスホネート系の薬と同じく他のものがあると薬の安定性が悪い、なんなら水を多くとってもダメというもの
ビホスホネートと違って寝てもよいんだけども、14mgの錠剤と7mgの錠剤×2が等価ではないとかいうなんというか気難しい薬。
もともとは注射しか存在しなかったんだけど、色々頑張って飲み薬にしたのでいろいろ制約がある感じになりました
・ドラール(クアゼパム)
睡眠薬なんだけど、食後に飲むと吸収が3倍ぐらいにあがるという薬。
効きすぎるから食事NGってのはあまりないですが、効果が効果だけにこれは避けないとね。
こんなところですね。
正直なところ、漢方のようなものやナウゼリン、プリンペランあたりなら
「ちょっと効果が落ちるけど、飲まないよりはましだから食後でものんでいいよ」
というのが実際の服薬指導になることあります。
なのでわからん時は薬剤師捕まえて聞いてみるとよいかもしれませんよ。
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