2020年6月28日日曜日

アトピーの新薬

今週発売の新薬についてちょっと書いてみましょうか
コレクチム軟膏っていうアトピーの薬なんですが、これはこの系統ではずいぶん久しぶりのもの。
アトピーの治療っていうのはステロイドと保湿を使う事が多いんですが、これって大昔からあるもの。
それからあとにプロトピック軟膏0.1%っていう免疫抑制剤を使った塗り薬が発売されました。
たしかわたしが薬剤師になったことに発売になったとかそんな感じ。大体20年ぐらい前の薬。
それ以来の新薬になるんじゃないかな、これは。
専門用語的なはなしをすると「ヤヌスキナーゼ阻害剤」っていうもので、細胞内のシグナル伝達を阻害する薬なのです。
元々は厄介なガンとかリウマチに対する内服薬として使われているものなんですが、今回はじめて外用薬として作られました。
アトピーっていうのは免疫がある意味過剰に働いて起こるものがでして
何らかの理由で神経伝達物質が作られる(サイトカインという)
それが細胞にくっ付いて次の伝達物質を放出する。中には直接炎症や痒みなどを出す物質を放出することがある。
ざっくり書くならば花粉とかが分かりやすいのかな?
花粉が入る→侵入警報でサイトカインAが放出されサイトカインB発生装置に連絡が行く
→サイトカインBが放出し実際の鼻水とか目の痒みがでる装置に連絡がいく
→鼻水発生装置が起動して実際に症状がおこる。
だいたいこんな感じかな?
実際はもっと手順を踏んだりすることもあるんだけども、分かりやすさ重視して今回は2段階でということで。
で、この伝達の流れのうちA→BとかB→発生装置の流れを止めることができれば症状が出ないというもの。
今回の薬はそういうところを止めることによって作用します。
即効性はステロイドと比べると若干落ちるような気もしますが、ステロイドよりは副作用も少ないんじゃないかなぁということで
結構期待されているお薬だったりします。
分子標的薬っていいうカテゴリーに当たる薬なので効果がピンポイントであることが売りなのです。
分子標的薬っていうと薬価がクソ高い印象があるんですけども、これは1g139.7円と結構安価だったりします。
比較対象のプロトピックが99.9円/gなんで、さすがにそれよりは高いですが
分子標的薬の飲み薬って1錠何千円とするので、それを考えたら良心的な値段かなぁと。
皮膚科ってあんまり変わり映えしないので今回のは結構期待してるみたいです。
アトピーで困っている方は一回聞いてみたらよいかも?

2020年6月21日日曜日

オーソライズドジェネリック

今回は予告通りオーソライズドジェネリックのはなしをば
まずその前にジェネリック医薬品というものから説明します。
第一三共エスファのHPより
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、 厚生労働省の認可を得て製造販売される、
新薬と同じ有効成分を含む医薬品です。
とのこと。
ちょっと加筆すると
薬も特許っていうものがあって、それが切れるまではその成分の薬は作ることができません。
その特許が切れた後なら同様の薬を作ってもいいんだけど、すでにどういう成分が効くか分かっている分
開発費というのは格段に安く済むし、それは当然製造コストにもかかわってくる。
開発段階であーでもない、こーでもないってやることもないし、失敗作で結局発売できなかったと言う事もないですし。
先発品はこういうコストもペイしないとならんから価格設定も高くなるというのもあるかもしれません。
だけども、これって完成化合物を作ってもいいよというものであって、詳しい作り方(製法特許)については教えてもらえません。
料理とかでも材料だけ同じもの使っても一流料理人と素人では全く別物ができる。そういうもんです。
で、前置きが長くなりましたがオーソライズドジェネリックっていうのは製法特許とかそういうのまで完全コピーしたジェネリック品のことを言います。
メリットは先発品と全く同じものができること。
名前以外は全く同じと言っていいのでわたしとしてはオーソライズドジェネリックがあるもので先発を使う理由っていうのは
「気持ちの問題」以上のものはないと思っているんですが、世の中意外と「なんとなく嫌だ」という理由で先発選ぶ方いるので…
全く同じものですっていう宣伝ができると他社に差をつけることができると思います。

じゃあデメリットはあるのか?という話なんですが
作る側の製薬会社は元会社に製造特許を教えてもらうためにお金を積まないとならないこと。
まぁメリットあるのにただで教えてもらえるわけないよねぇ。
利用者側のデメリットとして、これはちょっとこじつけでもあるんですが
「良くも悪くも先発と一緒である」ということですか。
改良の余地があったりしてもそこをいじることができないのがオーソライズドジェネリックのデメリットなのかも。
こんなところです。
ベターだけど必ずしもベストではないかもしれないっていうのがオーソライズドジェネリックというものです。
こんな感じで今回はここまで

2020年6月16日火曜日

一番お高いおくすり

一番高い薬、っていうのはいくらぐらいするのでしょうか?というのは結構話題に上がります。
2014年に画期的ながんの薬であるオプジーボっていう薬が発売され、それが約73万円。
それがやたら使われてしまって財政がやばいことになって薬価改定じゃないタイミングで半額になっており
2018年の薬価改定で17万えんぐらいまで下がりました。2020年の改定ではそんなに動かずでしたが、これは結構高い薬。
とはいえ、これよりも高い薬っていうのはあったりします。
5/20に収載されたゾルゲンスマっていう薬が167077222円というとんでもない金額の薬です。
1億6000万かかる薬なんですが、幸か不幸か投与は1回のみで適応は
脊髄性筋萎縮症(臨床所見は発現していないが、遺伝子検査に より脊髄性筋萎縮症の発症が予測されるものも含む)
ただし、 抗AAV9抗体が陰性の患者に限る
これはどんな病気かというと詳しくはこちらをみてね
https://www.nanbyou.or.jp/entry/135
ぶっちゃけて言うと筋肉や神経の伝達がうまいこといかなくなって95%は2年生きられない遺伝子疾患というものです。
欠損している遺伝子の場所とかの原因は解っているんですが、今までは治療法が無かったんです。
今回ゾルゲンスマという薬ができたおかげで治療することができるようになったというもの。
詳しい理論的な話をするとすごく難解になって、ぶっちゃけ自分でも説明できないのですけども。
ちょっと特殊なウイルスを使って遺伝子を正常な状態に書き換える薬といえばいいのかな?
ガンダムSEEDのコーディネイター的な感じのものといいますか、近未来的な治療というかそんな感じのものですね。
本当に効果があるのか?っていうのが気になると思いますが、メーカーのデータを見ると
治療していない13.6ヶ月の生存率が25%、20ヶ月、24か月の生存率がそれぞれ8%だったのだけど
治療すると24か月の段階では100%生存しているというはなし。
治療例が12例なのでそこまでデータが無いっちゃないんだけども、脱落が無いっていうのは結構すごい話ですね。
もちろんこれを投与したからと言って通常の人と同様な生活ができるかというとそこまでは万能ではないし、データも足りないです。
とりあえず命を取り留めることができる薬ができたっていうのは大きな進歩ですね、ってことだと思います。
値段については高すぎるとは思うんだけど命に値段ってつけるのはなかなか難しいですからねぇ。

2020年6月7日日曜日

今月発売のジェネリックのおはなし

6月はジェネリック医薬品が結構いっぱい発売されます。
とりあえずジェネリックが発売される薬の先発品のリストを
アボルブ(前立腺肥大による排尿障害)
アマージ(片頭痛)
ウリトス/ステーブラ(過活動膀胱)
ピレスパ(肺繊維症)
ザイザル(アレルギ)
ザルティア(前立腺肥大による排尿障害)
ジャドニュ(輸血による鉄過剰)
シュアポスト(糖尿病)
セレコックス(痛み止め)
ゼチーア(コレステロール、中性脂肪)
ベガモックス(抗菌剤の目薬、手術前などに使う)
ベルケイド((多発性骨髄腫)
メマリー(認知症)
レミニール(認知症)

6月に間に合わないけどその後に発売
エディロール(骨粗鬆症、8月)
ビビアント(骨粗鬆症 9月)
ディレグラ(アレルギー、花粉症 9月)
メマリーのドライシロップ(認知症 7月)
ざっとこんなところ。
使用頻度が高い所をあげると、セレコックス、ゼチーア、ザイザルでしょうかね?
頻度は低くてもザルティア、アボルブ、エディロール、ビビアントあたりは慢性的に飲まないとならないし
メマリーやレミニールも一回飲み始めるとずっと続きかねない薬ではあります。
上記の薬が出ているかたで、ジェネリックに抵抗が無い方はジェネリックをお願いしてみてはどうでしょうかね?
ジェネリク医薬品にはオーソライズドジェネリックっていうものがあります。
これは先発品を作っている会社からライセンス契約を行って、先発品と同じ材料作り方でつくるジェネリック品。
実質完全コピーなので、理解がある方ならこっちに変えた方が絶対いいです。
アボルブ
ザイザル
セレコックス
この3点が完コピ品があるものなので、気になる方は薬局に聞いてみましょう。
薬価ベースだと半額以下になると思いますので。