2019年10月27日日曜日

インフルの季節

なんかインフルが今年は結構早めに流行しているみたいで。
わたしも風邪をこじらせていてつらい状態だったり。皆様もお気をつけて。
今回はインフルの薬についてちょっと書いてみましょうか。
去年ゾフルーザが発売されて結構使われました。それの反省がいま出てきてまして、子供にはあんまり使うなという話が上がっています。
これは効きがどうこうじゃなくて、子供に使った例で耐性ウイルスが出てくる例が多いということらしいです。
まぁゾフルーザって体重によって分量が決まる薬で、小児用の投与量があんまり適格じゃなかったということなのかもしれませんが。
なので今年は子供にはあんまりゾフルーザは使わない感じだと思います。
大人には相変わらずでるのではないでしょうか?

では、使う薬のメリットデメリットなどを
タミフル
メリット
一番最初の抗インフルエンザ薬でデータがいっぱいある
他の薬比べて安価。ジェネリックもある。
飲み薬であるので服薬に失敗がない
粉薬もあるよ。
デメリット
耐性ウイルスが他と比べて多いとされている
5日間飲まないとならない。

リレンザ
メリット
耐性ウイルスが少ないらしい。
タミフルに次いでデータが多い。
デメリット
5日間使わないとならない上に、手技が面倒。とくに老人が一人で使うとなると失敗することもある

イナビル
メリット
1回で済む。
デメリット
結構高い
手技がリレンザよりはよいが1回だけしか使わないので失敗すると致命的

ゾフルーザ
メリット
1回で済む内服。一番失敗しない
デメリット
高い。体重が80㎏超えるととんでもない値段になる
分量の調整が難しい。耐性が出てきてるから逆風か
こんなところかしら。

ゾフルーザがよくてタミフルがダメってことはないです。
そもそもインフルは5日間ぐらいは安静にすべきですし、ゾフルーザ飲んだからといってすぐ良くなるわけではないのでね。
なのであんまり薬のリクエストってのはしない方が良いかもしれません。
あと、保険適応じゃないですが、ゾフルーザの予防投与っていうのをシオノギが申請しているという話もあります。
あんまりこれはどうなのよとも思うんですけどもね。
体調がいまいちなので今回はここまで。
また来週もよろしくお願いします。

2019年10月20日日曜日

血液クレンジングってどうなのよ?

ちまたで流行りの血液クレンジングについて。
最初に私の見解を言わせてもらうならば
「効果がないとは言わんけど、そこまで効果があるとは思えない、金銭的な問題やリスクの方がでかいからやめとけ」
です。
とあるサイトから引用
100ml~150mlの血液を専用ボトルを用いて採取します。
採取した血液に代謝と免疫系を活性化するためにもっとも効果のある量のオゾンを正確に投与します。血液とオゾンが反応すると黒い血液が一瞬で鮮やかな赤に変色します。
そして、オゾンで活性化された血液をボトルから再び体内に戻します。
これだけでも脳と目に酸素がいきわたり、また冷え性の方などはポカポカと温まるのを実感していただけます。
日本国内ではまだあまり知られていませんが、イギリス・ドイツ・イタリア等のヨーロッパ諸国では既に確立された治療法で、アンチエイジング、動脈硬化疾患、関節、筋肉などの運動疾患、そしてがん治療までに応用されています。
血液クレンジング療法(オゾン療法)は、専門病院が存在するほど、スタンダードかつ安全な治療法
だそうです。
血液とオゾンが反応すると黒い血液が一瞬で鮮やかな赤に変色します
これは生物学をちょっとかじったことあればわかる話なんだけども、こんなのはオゾンでなくてもできますし、ガス交換や静脈血と動脈血の違いを知ってればわかります。
一酸化炭素でも真っ赤になるし、時間がたっても黒くなることもなかったりするぞ!
でもそれだと死んじゃうぞ!
酸素がいきわたって冷え症や体が温まるのが実感できるとあるんだけども、これは正しいです。
ただし、血液抜いてオゾンを反応させて戻すっていうことをしなくても酸素カプセル、もっというと空気のきれいなところで深呼吸と差があるかというとどうなのよ?
と思います。
血液って5リットルぐらいあるとして、そのうちの1/50ぐらい抜いてそれをオゾンを入れてそこまであるのか?と思いますがどうなんだろうか?
要は酸素が体すみずみにいきわたらせればよいのだけど、それに対して過激な手段を取っているということかなぁと思っています。
データがないんだろうけど、炭酸泉のぬるい湯に30分入ったのと比べて有意差出るんだろうかね?そんなレベル。
血液抜いて戻すっていうことを考えるとそんな頻繁にできるもんでもないでしょうから、花王の某泡がでる入浴剤みたいな頻度で行えません。
月2回ぐらいやるといいみたいなこと書いてあるんですけどもねぇ。
お値段はこちら。
https://www.kenkoin.jp/prophylaxis/prophylaxis02.html
自由診療なので値段は好きにつけるし、複数回やるとディスカウントもあったりします。
続いてリスクの問題。
きちんとやっているのならば細菌感染というのは発生しないっぽいように見えますね。
専用の容器できっちり滅菌して、きっちり戻すということができるのならば。場末のクリニックだと結構怪しい所もあったりですけども
あと個人的には血栓リスクが気になりますね。
血液っていうものは体の外に出すと固まります。それを防ぐためにヘパリンとかつかうとは思うんだけど、このあたりはノーリスクというわけではないと思います。
サイトカインストームのケアまで考えるべきなのかもだけど、そこまではやらんだろうなぁとは思う。
個人的には
血液クレンジングはハイリスクローリターン
水素水はノーリスクノーリターン
こんな感じかなぁと思っています。
効果がないとは言わんけど、リスクと値段考えたらお勧めできない、そんな感じですかね。
なのでやるな、とは言わんけど一度考えてみてください。ってところで。
他のことをやってダメで、どうしても改善させたくてお金はかかっても良いっていう人ならばありかなぁ?
そんな感じ。
一番大事なのはうのみにせずに考えて決めることだと思いますね。
分からん時は一旦保留にして意見を聞くというのも大事よ

2019年10月11日金曜日

ザンタック回収

ラニチジン回収について。
先月にぐらいから騒がれている案件で対応が決まったようなので記事にしてみます。
ラニチジン(先発名だとザンタック)っていう薬に発がん性がある不純物(ニトロソアミン)が入っているっぽくて回収になりました。
発がん性物質が入っているっていうのも問題なんですが、本当に良くないのは代わりの品がないというもの。
これはどういうことかといいますと、薬ってのは製薬会社何社も薬をだしているんだけども、原料作っている会社っていうのはあんまりないのです。
分かりやすく言うと、食事処はいっぱいあるんだけど、調味料の塩がやばいことになっていると塩が入っているメニューは全部ダメになる。
そんなレベルの状態だったりします。
最初はクラスⅡていうそれほどでもないリスクだったんだけど10/9にクラスⅠっていうマジやばいっていう判断となりました。
具体的に患者に渡っている薬も回収するというレベル。
実際ガンができるかっていうとできないとは思うんですけども、ご時世がご時世だけにね。
誠意のある対応やっとかないと叩かれる種になるからですね。
今回の回収は結構気合が入っていて、発売会社のグラクソスミスクラインが以下の分を負担するというもの
・代替薬剤費
・その代替薬処方のための再診料
・上記処方のために発生した交通費(一律3000いぇん)
ただし、残っているザンタックに対して返品&返金はやっていない。
その切り替え先の薬についてグラクソが持つよ!って感じのものでした。
胃酸を止める薬なのでファモチジンかラフチジン、シメチジンとかなんすかね?変えるとしたら。
いっそのことPPIに変えるべきかもしれんけどもどどうなんだろうか。
とりあえず、いまんところは回収開始したのは先発メーカーのグラクソのみなんだけどジェネリックメーカーってやれるのかしら?
結構とんでもない額になると思うんですけども。

2019年10月5日土曜日

治療しない薬。

ステロイドの話。
Twitterでステロイドのことを「よく効く解熱剤」だと思って年老いた親が発熱する度に飲ませてて、その結果敗血症と思われる症状で
おじいちゃんがお亡くなりになってしまったみたいなのがあってちょこっとコメントしたんだけども。
ステロイドってのは何ですか?って聞かれてきちんと、というか一般の人が理解できるように説明できる人ってどれだけいるんだろうか?
ぶっちゃけ薬剤師であっても「一般人が理解できるように」説明できる人ってホント一部なような気がします。
副腎皮質ホルモンで炎症をおさえたりいろんな効果がある薬です、って言っても「??」という感じになるでしょうし。
ということで、一部の人にわかるように説明します。全員に理解っていうとなかなか難しいので、あえて極端かつ一部の人にしかわからんだろうなという
例えをしますので許してちょうだい。
ステロイドは基本的に治療薬っていうことでは無くて、体から出ているアラート(誤報レベルのものも含む)を止めるというものになります。
火災報知器のセンサーに異常があって常にアラームがなる状態になってるとしましょう。
火事の気配はなく誤報っぽいんだけど、ずーっとアラームが鳴ってて非常にうるさい。どうにかこれを止めたい。
その場合どうしたらいいか?
もちろん修理すればいいんだけど、それがお金がないとか、業者に連絡がつかなかったらどうしたらいいでしょう?
修理できるまで鳴りっぱなしではさすがに困るのでどうにか止めたい。どうしたらいいでしょうか?

解答
「電源を切る」
え、そんなことしたら火事になったときに検知できないじゃん!
→そうだよ。でもうるさいのが困るでしょ?アラームが鳴りっぱなしとどっちがいい?
→・・・そういうことなら仕方ない。直るまでは火事とかに対して目視で警戒しないとならんね。
そんな感じになるのです。
頭のところで紹介した例は
ボヤが発生しているのに火災報知器がうるさいので電源切った。
くすりってのは飲めば永続ではないの自動でスイッチが戻るようになっているんだけど、報知器が鳴るたびに
電源を切るというのを繰り返していた。
火事です!って言っているのにそれをずっと無視し続けたらどうなるか?
そりゃ大炎上して取り返しのつかないことになってしまうでしょ?っていうお話です。
仕組みが分かっていればこんな感じで説明できるんだけど
・なんかよくわからん機械があってそれがビービー鳴ってうるさい
・ステロイドを使ったらなってる音が止まる
・機械がうるさいこといいはじめたらステロイドを使えばいい(と思っていた)
・それを繰り返してたらなんか爆発した。どういうことだ!
多分こんなかんじなんでしょうね。薬とかに詳しくない人だとこういう感じの考え方になっても仕方ないと思うのです。

じゃあ、症状を治さずに放置するステロイドって要らない子なの?って話になるのですが
もちろんそんなことはないです。
これまた変な例えなんだけど
部屋の中で七輪でサンマを焼きたい。もちろんそんなことしたら火災報知器は鳴るに決まってる。
だから電源オフにして鳴らないようにした。
もちろん七輪とサンマからは目を離さずにきちんと処理するという条件です。
そういう状況なら・・・まぁって思ったりしませんか?
そもそも庭がないのに七輪を室内で使ってサンマ焼くなよという話なのかもしれませんけど、医療なんてわがままなもんでしてね。
無理だ!ってのをどうにかするのが医療でもあったりするのです
臓器移植なんて最たる例でしょう。
体の中に異物をぶち込むけどアラーム鳴らすの止めろよ。とか、普通考えたらありえんはなしでしょう。
この臓器移植にもステロイドってのは結構絡んでおりまして、臓器移植はいいけどステロイドはダメ!みたいなことはぶっちゃけあり得ない意見なのですよね。

直接病気を治療する薬ではないのですが、症状をでなくすることができる薬がステロイドっていうふうに見ると
どうやって使ったらいいか?どうやったらダメ?というのがわかるのでは無いでしょうかね?
実際使う例として
・一時的な大ダメージを食らったが回復方法が時間かけるしかない場合
虫刺されとかでもそういうのに該当することになります。
これは症状が治まるまでの短期間の使用になりますね。
使うかどうかの選択、いつまで使うかってのはちゃんと考えて使う必要があります。
逆に長期間使う例だと
・現在の医学では根本的な治療法がない場合で使うことによって症状や状態をコントロールできそうな場合。
これは移植とか膠原病の場合が多いのですが実際結構つかうこともあります。
大事なのは治す、ではなくコントロールするという話ね。
もし、今お薬を飲まれている人がいたら、それは治療薬かコントロールする薬なのかってのを考えてみると良いかもしれません。
といったところで今回はここまで。
また来週もお願いします。