2022年11月25日金曜日

ゾコーバってどうなの?

塩野義製薬からゾコーバというコロナウイルス感染症の経口治療薬が緊急承認されました。 すでにモルヌピラビル(商品名ラゲブリオ)というものがすでに実用化、薬価収載しているんですが 『国産』の経口治療薬という点で開発が急務であり、半分国策としての製造って感じのものでした。 過去にアビガンっていう新型のインフルエンザが発生した時の秘密兵器的な薬があったんですが このゾコーバも「完成したら政府が100万人分買い取るからはよ作れ!」的な感じの背景がある薬です。 効能的には 一般的なオミクロン株の療養期間が8日分であったのが7日分に短縮する。 デジタル的な書き方するなら「コロナ持続時間12.5%カットできる」という感じでしょうか。 これを見てそんなもんか?って思われる方多いかなと思いますが8日で自然治癒するウイルスを 即座になくすなんてのはぶっちゃけありえんのです。 この辺りはインフルとかのタミフルとかも同様、というかそもそも問題タミフルは5日間飲むわけで インフルエンザの療養期間ってそこまで長い話ではないでしょ? HIVとかC型肝炎みたいに治療しないと絶対治らない系のウイルスと、自然治癒があるウイルスがあって 今回はのは後者であってわざわざ使わんでも・・・ってなる人が結構いそうな気もします。 ニッチな例だけど 併用禁忌の薬リスト ピモジド キニジン硫酸塩水和物 ベプリジル塩酸塩水和物 チカグレロル エプレレノン、 エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアン チピリン エルゴメトリンマレイン酸塩 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩 ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩 シンバスタチン トリアゾラム アナモレリン塩酸塩 イバブラジン塩酸塩 ベネトクラクス〔再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〕 イブルチニブ ブロナンセリン ルラシドン塩酸塩 アゼルニジピン アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル スボレキサント タダラフィル(アドシルカ) バルデナフィル塩酸塩水和物 ロミタピドメシル酸塩 リファブチン フィネレノン リバーロキサバン リオシグアト アパルタミド カルバマゼピン エンザルタミド ミトタン フェニトイン ホスフェニトインナトリウム水和物 リファンピシン セイヨウオトギリソウ(St.John'sWort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 ・・・まー多いこと多いこと。 一般人に分かりやすく説明すると、精神系の疾患、不整脈や血栓症、不眠症、高血圧、高脂血症、てんかんあたりの薬を飲むと 禁忌に引っかかることがあるから注意ねという話です。 頻度が高いところだと、セララ、リポバス、カルブロックとレザルタス、ハルシオンあたりかな? とにかく色々禁忌レベルの相互作用が多くて、使う前提条件が大変なのですね。 飲んでいる薬を把握していない相手には使いにくいっていうことです。 アドシルカが引っかかっているけど、レビトラ(バイアグラのような薬ね)使っているおじさんとかが申告漏れとかあったりしそう。 禁忌でなくても併用注意、使うべきではない対象っていうのはありまして。 具体的には妊婦は禁忌なんだけど、妊娠可能な女性に対して使う場合1週間は避妊することという条件付き。 まあ、コロナ療養中にそんなことするんか?という話はあるんだけど 治験については腎機能不全の人には行っていないのでデータがない→禁忌扱いではないので使ってはいけないわけではないが リスクについてわかんないから「ひとまず『見』に徹する」医師も多いんじゃないかなぁと。 また禁忌でなくても併用注意の薬も同じぐらいあるので、効果考えるとリスク取りなくないというのもあるかなぁとは思ったりしますね。 とまぁ、治療薬としてはとっても微妙な薬で 「使うかどうか選択肢ができるという点ではないよりはあった方がよいよね。今のところタダだし」 ってのが好意的に見たつかまるの感想 これがラゲブリオみたいに薬価収載されて、保険医療になったらこんなの使いたいって患者おるんか?ってところ。 ラゲブリオの1日薬価がが18000いぇんぐらいで5日治療期間を有する薬。 90000いぇんの3割って27000いぇん。薬価が同じぐらいとしたら、なくていいですって感じになりそうかなぁ? 頭に書いたように今回の薬は『完成したら100万人分国が買い取るから作って!』という背景があって この薬が効果がいまいちだろうが、使いにくいものであっても買い取ることが決まっている薬です。 治験データがいまいちで、リリースまでたどり着けるか怪しかったんだけど、ごにょごにょして通したとかいうはなしも。 結構政治的な側面もあるのでつつきだすときりがないので、この辺にしておきましょう。 あ、そうそう使える対象は12歳以上で軽症で発症後72時間以内が望ましいという感じです。 で、投与すると治るのでは無く、症状がある期間が短縮されるというものです。 誰にでも使えるわけでもないし、使ったからすぐ治るわけではない。 そういうくすりだよ、というのを頭に入れとくとよいかもしれませんよ。

2022年11月17日木曜日

冷え症と対策

急に気温が下がってきて冷え症な人にはつらい季節になってきたかと思います。 今回は冷え対策を食事と薬で行うにはどうしたらよいか?という話をしていこうと思います。 まぁ、先日名古屋の某所の健康相談で話した内容を文章化して残す感じってところで一つ。 食品によって体を温める食べ物、冷やす食べ物っていうのがあります。 状況によっては避けるとか進んで摂るとかしていくとある程度体質改善できるかもしれません。 肉類でも馬肉やカモ肉は冷やす方向に働きます。あまり食べる機会は無いとは思いますが・・・ 逆に温める系の肉としては豚肉、牛肉、羊肉など。 鶏肉はどっちかというと冷やす系になるのかな?と思います。 豚肉、牛肉は比較的取りやすいと思うので、迷ったら肉でいいのかもしれませんね。 続いて野菜 冷やす系の野菜は夏に取れたり、みずみずしい系のもの 温める系のは根菜だったり、匂いが強い系の葉物など 具体的には冷やすものはナス、トマト、きゅうり、白菜など 温めるものとしてニンジン、レンコン、カボチャ、ねぎ、にらなど 秋ナスは嫁に食わすなという格言がありますが、これはわりとエビデンスがあるもので 体が冷えることで妊娠しにくい状態になるというものから来たはなしのようですね。 果物も似たような傾向があって、やっぱり水っぽいものは冷やす傾向にあります 冷やすものとしてすいか、メロン、なし、みかん、バナナなど 温めるものとして桃、栗、あんず、ナッツ類、さくらんぼなど 調味料なども塩や白砂糖は冷やす系だったり、香辛料や黒砂糖、酒、酢なんかは温める系だったりします。 飲み物 緑茶、コーヒーは冷やす系のものであり 紅茶やウーロン茶などは温める効果があります。 ざっくりこんなところでですが、発酵食品は全般的に温める系の効果があると思ってもらえればわかりやすいかな? 調味料だと塩よりは味噌、醤油とかのほうがよかったりするし、塩でも塩麴とかのほうがよかったりするとか。 一方冷え症に対する薬 こういうのは漢方薬が得意な領域なんですが、一応西洋薬でもなくはないです。 一番一般的なのはビタミンE。成分名的にはトコフェロール、商品名はユベラ。 血流を改善する効果が期待できます。 あとはヘプロニカートとかもあるんだけど、適応症が結構難しいので保険通すのはなかなか難しいかもしれません。 一般医薬品に入っているものはあったりするけどもね。 漢方 冷える場所によって結構変わってきます。 当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、真武湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯とかがメインかな? 状況によっては葛根湯なんかも使ったりします。 マニアックな漢方医だとアコニンサン、ブシ末といった生薬系の薬を追加することもあります。 これらはほかに伴う症状とかで使い分けしたりするのですが、この辺りは専門家に聞いてみるとようでしょう。 症状体質によって使い分ける必要があるので注意ね。